「さいたまクリテリウムbyツールドフランス」で、約2億円の事業赤字が発生したことによる補助金1億5200万円を追加支出する補正予算案は審議未了、廃案となったことについて会派間での考え方の違いが浮き彫りになったと感じます。

埼玉新聞によると『自民は「このままでは市議団として賛成も反対もできない。廃案は否決に比べれば執行部に救いの手となるはず」、公明は「一度リセットして不明な点を整理し、出し直すべき」と評価したが、議案の採決を目指した民主と改革フォーラムは「残念。審議を尽くして賛否を示すのが議会の道理で、その責任を放棄した」などと自公を批判。共産は「市民に過大な負担を強いる議案で、廃案でなく否決すべきだった」(12月21日付)』とありました。

今回の予算委員会審議の過程で、市側が説明する内容に納得した会派はゼロと言っても過言ではありませんでした。
そこで、さいたま国際観光協会や代理業務を担った企業の担当者の参考人意見聴取を実施したのですが、市側が説明してきた話との食い違いが更に鮮明になってしまいました。
例えば
・観客20万人、経済効果30億円の根拠があまりにも幼稚すぎる。
その一例として市は、沿道に観客が3万人で3レースやったから12万人と試算。
私もずっと会場にいたがほぼ入れ替わっていません。

・大会運営企業(JTBコーポレートセールス)との随意契約について市はASO側からの認証企業と説明していたが、実はASO社とJTBコーポレートセールスに認証制度などなかったとの証言。最悪、官制談合の可能性も否定できない。

・適当だった当初見込み予算。
3億5千万円の根拠が説明できない。何処で、誰が、どのように、何に?いくら?を見積もったのか?場合によっては地方自治法違反の可能性も出てきます。

・フランス側主催者ASOとの秘密契約。税金で賄われているのに秘密だから市民に説明できない。税金の使い方として許されるのか?

・大会の実行委員長である市長の専決に問題があるのでは。
事前に実行委員会への説明もしないで決めている。市政の私物化が許されるのか?議会に対する説明責任は?
等々、様々な疑義が生じているのです。

こんな状態では当然「否決」はできても「賛成」はできません。
なぜなら、どちらにしても市民に対して説明ができないのですから・・・。

もし否決すれば、市は業者に対して今後支払いが一切できなくなります。
当然さいたま市は訴えられることになります。
その時の賠償金は誰が払うのでしょうか?
または、下請け企業に対して、支払いが止まってしまうことにより倒産などが発生したらどうするんでしょうか?
責任はだれがとるのでしょうか?
市長?
さいたま国際観光協会?
実行委員会?
結局は市民に跳ね返ってきます。

であるなら逆に廃案にしておけば、市長は専決(住民監査請求は免れません)もできますし、体制を立て直せばもう少しマシな説明が返ってくるかもしれません。
更には新たなる事業スキームやクリテリウム債の発行等、事業継続開催に向けた新たな可能性も見えてくるかもしれません。
今後の知恵如何にかかていますし、それに期待もしています。
だから私は廃案に賛成しました。

議会の現状を考えればあえて強行採決にでれば、民主主義の原理からいって否決の可能性(多分そうなっていました)が最も高いのです。
結局、困るのは市であり市民です。
私から言わせれば市長与党である民主党と改革フォーラムや共産党も含め今回は「無責任」だと思うのです。
今回の審議未了廃案は政治の知恵です。
混乱を避けるための最善策です。
決して議論を避けたいい加減な態度ではないのです。
皆さんはどのように考えられているのでしょうか?