1、選ばれる都市へのインバウンド戦略について
(1)公衆無線LANスポットの整備促進について
(2)ハラール認証の推進について
(3)外国人観光客向け多言語観光アプリの開発について
(4)外国人観光客向け多言語情報発信コールセンターの創設について


○神坂達成議員 公明党の神坂達成でございます。
 本日の質問のキーワードは、国際都市ということでございます。持続可能な国際都市をどうするのか、これをない頭でしっかり考えてきました。今日は、その思いを執行部の皆様にお伝えさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(1)公衆無線LANスポットの整備促進について
 近年、日本国への観光客は右肩上がりの状態で、昨年度は1,000万人を突破し、2020年のオリンピックまでには2,000万人を目指すと国では発表しています。これを受け、外国人観光客という新たなる資源獲得への都市間競争は既に始まっております。そこで、以下4点、国際観光都市戦略について御質問させていただきます。
現在、スマートフォン等の急速な普及に伴い、アクセス情報や施設情報などを入手しやすい環境をつくっていくことが、各都市で大きな課題となっております。観光庁の調査でも、外国人観光客が旅行中に困ったことの第1位が、公衆無線LANが整っていないこととなっています。このような背景の中、京都市では民間活力の導入を図り、市内630か所というアクセスポイントの拡大に取り組んでおります。設置場所では、観光客にとって重要ポイントとされる駅、バス停、コンビニ、観光スポット、公共施設などを中心に、誰でも、いつでも、どこでもインターネットに接続できる環境を進めています。最も気になる事業予算は、イニシャルコストやランニングコストを民間企業に投資してもらい、市は場所の提供、ステッカーの作成、広報を管轄することで、その事業費はわずか238万円となっております。まさに民間活力の導入こそが、公衆無線LANの拡大やコスト削減に直結するのです。さいたま市としても、民間活力の導入による公衆無線LANスポットの拡大を図るべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(2)ハラール認証の推進について
イスラム圏の人口は、東南アジア3か国、シンガポール、マレーシア、インドネシアだけで3億人、全体では19億人を超え、日本へ訪れるイスラム圏の人々は急速にふえつつあります。イスラム圏には、日本を訪れることを望んでいる人が多く、日本にやってきた彼らが最も楽しみにしているのが日本の食事です。しかし、彼らはようやく日本にやってくることができたにもかかわらず、日本にはハラールの基準を満たした食材、調味料、レストランがほとんど存在しないため、多くの日本の食事をとることができない状況です。彼らは、イスラム法で許可されたものしか口にすることができません。イスラム法の戒律に従って、保管、加工、包装され、製造から流通に至るまでのトレーサビリティが確立され、製品の安全安心を保障することがハラールの役割です。イスラム圏だけでなく、ノンイスラムにも需要が期待され、世界に通用する安全基準の制度として、今ハラールが注目をされております。
 このような状況下で、本市がハラールを積極的にリードした場合、そのメリットとして巨大マーケットの獲得による市内交流人口の増加による経済の活性化が期待されます。既に熊本市では、国家戦略としてハラール対応に取り組んでいるマレーシアへ市長がみずから赴かれ、ハラール産業開発公社と協力確認の覚書を結ぶという積極的な取り組みを開始されております。本市におけるハラール推進についての御見解をお聞かせください。
(3)外国人観光客向け多言語観光アプリの開発について 
先般、視察で訪れた長崎市では、外国人観光客向けにアプリを活用したインバウンド政策を展開していました。長崎市に観光客として訪れる外国人数は、台湾、中国、韓国の順番となっていますが、台湾と中国はツアー旅行者が大半を占めているため、地理的にも近い個人旅行者が多い韓国をターゲットに、長崎県観光連盟や佐世保市と連携し、観光情報アプリを開発し、個人旅行客の獲得に取り組まれています。これは、ICTを活用したコミュニケーションツールの普及や着地点情報の提供を目的としたもので、アンドロイド用、アイフォーン用がそれぞれ用意されており、個人観光客の獲得への原動力としてその力を発揮していました。そのほかにも、東京都港区で推進する拡張現実、AR技術を使った多言語対応の観光アプリは、国内外の観光客からも注目集めています。
 本市の魅力であるうなぎをはじめとした食文化、桜の名所やお祭り情報、歴史ある神社仏閣、さらには世界の鉄道ファン、鉄ちゃん、鉄子も喜ぶ鉄道情報、欧米やアジアで大人気の盆栽などを満載した多言語観光アプリを開発すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(4)個人観光客向け多言語情報発信コールセンターの創設について
 外国人観光客獲得という都市間競争が激化する中、各地で外国人観光客専用のホームページや多言語情報センターなどのプラットホームづくりが進められております。本市においても、今後さいたまクリテリウム、さいたまトリエンナーレ、世界盆栽大会、オリンピックなどの開催場所として、海外観光客の増加が見込まれます。
 このような状況下にあって、きめ細やかなおもてなしや情報提供は、リピーターや東京からの観光客を獲得する絶好のチャンスです。そのためにも言語のバリアフリー化は絶対条件であり、外国人観光客が必要としている施設情報からトラブル解消に至るまで、困ったことがあればいつでも対応してくれる多言語情報センターは大きな戦力となります。先進的に取り組まれている沖縄県では、地元商店街にもその効果は波及しているようで、お店や宿に外国人の方が来ても何を言っているのかさっぱりわからない、そんなときはコールセンターに電話をかけてきて、通訳してほしいとの要望が多数寄せられ、双方のコミュニケーションに大きく役立っているとのことでした。本市においても多言語情報発信コールセンターを創設し、おもてなしの強化を図るべきと考えますが、見解をお聞かせください。
○岡安博文経済局長 神坂達成議員の御質問の1 選ばれる都市へのインバウンド戦略について、(1)公衆無線LANスポットの整備促進についてお答えいたします。
 総務省が本年3月に実施しました調査結果におきましても、日本の無料公衆無線LANの環境、いわゆる無料WiFiの環境については、外国人観光客の約36%が十分でないとの回答となっており、議員御指摘のとおり今後2017年の世界盆栽大会、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、外国人観光客にとって使いやすい無料WiFiの環境を整備することは、喫緊の課題の一つとなってございます。
 現在の取り組みといたしましては、埼玉県と協力し、すべてのWiFi端末で接続ができ、無料で利用ができるよう検討しているところでございます。基本的な考え方としましては、推進事業者等と連携し、観光名所、観光案内所及び宿泊施設等においてWiFiの環境を整備し、行政はWiFiスポットを示すステッカーの作成、配付や周知のためのPR等を行うというものでございます。また、8月には総務省及び観光庁により設立されました、無料公衆無線LAN整備促進協議会にも本市は参画してございまして、国とも協力して整備を進めてまいります。
 今後の進め方につきましては、観光案内所などの公共施設や外国人観光客が立ち寄りそうなエリアから着手し、ニーズ等を捉え、順次拡充していきたいと考えてございます。また、整備手法につきましては、機器の設置に係るイニシャルコストやランニングコストを圧縮することも必要であり、御提案の民間活力の導入などについて、他市の先行事例も参考にしながら検討してまいります。
 次に、(2)ハラール認証の推進についてお答えいたします。
 東南アジア諸国のイスラム圏からの観光客、いわゆるムスリムについては、東南アジア諸国へのビザが緩和されたこともあり、今後さらに訪日観光客等の増加が見込まれます。観光庁によります観光立国実現に向けたアクションプログラム2014の中にも、今後一層国内におけるムスリム対応の強化が重要とされてございます。
 そこで、本市としてのムスリム対応の方法を探るべく、局内に検討チームを組み、本年8月には埼玉大学のマレーシア留学生へのヒアリングや、市内ホテルでのムスリム対応の現状や実例について調査を行いました。留学生へのヒアリングでは、議員からも御指摘がございましたとおり、日本の生活で一番困ることは食事についてであり、外食やコンビニエンスストアでの買い物等、ハラールフードであるかどうかを見きわめることに苦慮しながら生活していることがわかりました。一方、ホテルでの聞き取りでは、今まで宿泊客等からハラール対応の要望は、まだ聞いていないとのことでございました。ハラール認証を含め、ハラール対応の検討に当たりましては、ムスリムに対する理解と正しい情報の収集が不可欠と考えてございます。また、特にハラールへの対応とするためには、生産、流通、そして設備投資など、多大な経費がかかるなどの課題もあり、飲食業界への周知、理解と協力が重要だと考えてございます。
 今後につきましては、検討チームを中心に関係事業者と話し合いの場を設けるなど調査研究を進め、食の安心安全を第一に考え、本市ならではのおもてなしの方法を考えてまいります。
 続きまして、(3)外国人観光客向け多言語観光アプリの開発についてお答えいたします。
 観光庁の訪日外国人の消費動向についての平成25年度年次報告書によりますと、外国人旅行者の日本滞在中に、旅行情報の入手方法で最も役立ったのは、スマートフォンやパソコンを使用したインターネットからの情報入手で、回答数の約74%を占め、情報端末を介した観光情報の提供は重要であると考えてございます。現在、観光情報は、市や観光協会のホームページ等で提供しているところでございますが、今後さいたまトリエンナーレ、世界盆栽大会、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多くの外国人観光客が本市へ訪れることが見込まれており、議員御提案のさまざまな観光情報を盛り込んだ多言語対応のアプリの開発は、おもてなしの取り組みの一つとして効果的であると考えてございます。また、先ほど御答弁させていただきました無料WiFiの環境整備と組み合わせることで、相乗効果も期待されるところです。
 今後、利用者サイドのニーズを把握するとともに、御紹介いただきました他市の先進事例なども参考にしながら、導入について早急に検討してまいります。
 続きまして、(4)外国人観光客向け多言語情報発信コールセンターの創設についてお答えいたします。
 外国人観光客に対する外国語によります観光案内の取り組みとしましては、現在浦和駅とさいたま新都心駅の観光案内所が英語対応可能な施設として、日本政府観光局(JNTO)の認定を受けてございます。一方、国におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックには訪日外国人旅行者数2,000万人を目指しており、サッカー会場となる本市にも相当の外国人の来訪が見込まれ、観光案内所の対応だけでは十分でないと認識してございます。
  御提案の外国人観光客向け多言語情報発信コールセンターにつきましては、全国的には今のところ重立った観光地での取り組みではございますが、この機能の必要性についても認識してございますので、観光案内所での対応実績などの状況を確認しながら、導入について研究していきたいと考えてございます。
○神坂達成議員 それでは、再質問をさせていただきます。
 まず、外国人が立ち寄りそうな場所を重点的に整備するというお話がございましたけれども、さいたま市として何か所整備をしようと考えているのか、お聞かせください。
 もう一点が、私は民間活力を使って整備をしようということで御提案を申し上げましたけれども、今御答弁の中では埼玉県とか、また総務省とか、観光庁とか、いわゆる官官連携を進めていくというような御答弁であったと思いますけれども、官官連携で進めていくメリットがあるならば、これをしっかりとお示しください。
 それから、京都市630か所ということで場所を言いましたけれども、ほかにも神戸市では、やっぱり民間活力を導入して、今回3,000か所というWiFiスポットの整備がもう既に終わっております。であるので、民間活力を使うことこそが、数であるとか、またスピードであるとかということに反映してくるというふうに思いますけれども、この点についてはぜひとも、これを担当するのは都市戦略本部、シティセールス部がこういったことの調整をしているわけです。観光都市に係る総合調整ということですので。答弁指定はできませんけれども、ぜひとも大熊本部長の御答弁をいただければというふうに思います。
○岡安博文経済局長 神坂議員の再質問にお答えいたします。
 まず、施設何か所かという話ですが、今年度、今調査してございます。それで、今外国人が立ち寄りそうなところ、そこを重点的に考えていこうではないかということで考えてございますので、何か所かという数字は、まだ今のところは出ておりません。
 それから、官官のメリットでございます。これにつきましては、国も、それから県も市もそうですが、訪日外国人の増が見込まれてございますので、早急に整備していきたいということでありますので、さいたま市だけを整備するというのはまた違う話で、やっぱり全体的なこともありますので、国等が率先してやっていただければ。さいたま市としては、市としてやはりかゆいところにWiFiが整備できればなというふうに考えてございます。
 民間活力の関係でございますが、これは御承知のように民間もやはりさまざまな通信事業者がございますので、実際うちのほうにもいろいろな打診が来るのは、さまざまな民間事業者でございます。そういったもの等、やはりメリット、デメリットがございますので、それは考えていきたいと思っております。以上です。
○大熊克則都市戦略本部長 ただいまの民間活力の導入につきましては、本市も民間活力の導入は進めておりますので、他市の成功事例もただいまお聞きいたしましたので、ぜひ全庁的に調整をして進めたいというふうに考えております。