(1)電力の地産地消について
それでは、次に移ります。2番、環境に優しい持続可能な都市へ、(1)電力の地産地消について伺います。東日本大震災を契機として、地域で使うエネルギーを地域でつくり出し、効率的に使うというエネルギーの地産地消の取り組みが、多くの自治体で進められております。これらが進む理由として、大規模災害などにより、遠方からのライフラインがストップしても一定の電力を確保することが可能となり、ブラックアウトなどに備えた強靱なまちづくりを推し進めることができますと同時に、環境に優しい持続可能な低炭素社会を実現することができます。電力の地産地消のメリットは、それだけではありません。経済面においても、地域の電力の地産地消が行われた場合、市内で発電された電力を市内で使用することとなり、その対価は市内の使用者から市内の供給者へ支払われます。このため、富の流出が抑えられ、市内に経済循環が発生することとなります。
本年11月以降、10年続いた家庭用太陽光発電の固定価格買取制度、通称FITが順次終了いたします。資源エネルギー庁によると、2019年から2023年の期間にさいたま市内でFIT満了を迎える予定件数は、1万3,000件から1万4,000件となっています。静岡市では、このタイミングに合わせ、各家庭から電力を買い取り、買い取った電力を小中学校のエアコンなどに使うことで電気の地産地消を推進すると発表しました。FIT切れの電力を市が買い取り、使い道を明確にすることで、市民の市政参画への意識向上にもつなげるとしています。そのほかにも、静岡市では市内の清掃工場でできた余剰電力を庁舎や病院、市内279の公共施設へ送電しています。今やエネルギーの地産地消という考え方は、一地域にとどまるものではありません。新たなるイニシアチブとして、自治体や世界的企業がRE100としての取り組みを加速させていただきます。エネルギーの地産地消は、世界的なトレンドと言えます。 さいたま市においても、ごみ発電や卒FITを活用した電力の地産地消を着実に進めていくことができれば、学校や庁舎、公民館などの公共施設で必要とされる電力を賄うことができると考えます。私たち公明党は、災害に強く強靱で、環境に優しい持続可能な都市を目指していく上で、長期的な視点に基づくエネルギー戦略が必要だと考えます。本市の見解をお聞かせください。
●清水勇人市長 神坂達成議員の御質問の2、環境に優しい持続可能な都市へ、(1)電力の地産地消についてお答えしたいと思います。
東日本大震災を契機として、電力供給の信頼が大きく揺らぎ、省エネ、節電の取り組みとともに、自立分散型エネルギー社会の構築が求められるようになりました。国におきましては、パリ協定の採択などを踏まえ、地球温暖化対策計画を閣議決定し、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で26%削減する目標を定めております。また、平成30年7月には第5次エネルギー基本計画が策定され、再生可能エネルギーの主力電源化に向けたエネルギーミックスの実現を進めることといたしております。
議員御指摘の静岡市の取り組みなどは、これらの国の政策を踏まえました再生可能エネルギーの効果的活用の一つであると認識しております。全国的にも電力の自由化に伴い、地域の新電力会社が設立されるなど、地産地消の新たな取り組みが進められております。
本市におきましても、これまで特に東日本大震災が起こった以降、積極的に公共施設、学校、あるいは公有地を活用してメガソーラーの導入など、太陽光発電の設備の導入、あるいは分散型エネルギーを確保していくことについて、美園での特区事業を含めまして積極的に取り組んできたところであります。また、これに加えまして、ごみ焼却施設での発電電力の有効活用の視点から、新たな事業スキームを検討、また構築をして、本庁舎、また区役所、学校、公民館での積極的な、そうした電力の活用を図っていきたいとも考えております。
エネルギーは、平時に限らず災害時でも安定供給できることが重要と考えておりますので、事業スキームの検討に当たりましては、エネルギーセキュリティーの向上、また費用対効果及び再生可能エネルギー導入率向上等を踏まえて検証していきたいと考えております。また、FIT期間満了に伴う対応につきましては、現在個人向け補助事業として省エネ・創エネ機器設置補助事業を実施して蓄電池の普及を推進しているところでありますが、ごみ発電の新たな事業スキームと、いわゆる卒FITへの対策も組み合わせまして、本市が目指すべき電力の地産地消について検討を進めていきたいと考えております。
●神坂達成議員 ただいま市長のほうから、エネルギーの有効活用ということについて力強い答弁が示されたと認識します。ぜひとも今後のさいたま市の未来のあるべき姿として、さらに力強く進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。