公明党さいたま市議会議員団の神坂達成でございます。会派を代表して、議案第132号、153号、議員提出議案10号について、委員長報告に賛成の立場から討論をさせていただきます。
はじめに今回の補正予算は、福祉の充実並びに安全そして生活基盤の強化のための補正予算として計上されております。
老人福祉施設等施設建設補助事業では、質疑の中で、市内入所待機者数が4月1日現在、1907名にも上ることを確認しました。
超高齢化社会において介護施設の基盤整備は、重要かつ喫緊の課題であることから、開設準備に要する経費負担の一部助成を妥当なものと考えます。
また、大宮区役所新庁舎整備事業では、PFI-BTO方式で整備するにあたり、設計・施行・管理運営・県大宮合同庁舎の解体等を一括して発注するものです。
既に同手法は国・地方自治体での導入実績が増加しており、民間活力の導入手法として定着しつつあり、将来的にも強く財政制約が求められる中で、成熟社会に見合った財政運営を実践していくためには、今後も求められていく手法であると理解致します。
しかし一方で、地元建設業界からは、「PFI方式は、一括発注のため、手続きが煩雑で、履行責任期間も20年と長いことから、従来手法に比べ、ハードルが高く、地元建設業者の参画が困難である」との声が聴かれます。本来であれば、さいたま市で事業を営み、雇用を支え、税金を支払い、ひとたび災害が起きれば、地域の守り手として一翼を担っている地元建設業界を大切に見守り、育てていかなければなりません。
よって今回の大宮区役所新庁舎整備事業では、そのデメリットを解消できるような地元企業の参画へのインセンティブや仕組み作りが強く求められているのではないでしょうか。
地元建設業界が元気であるための施策の導入を検討することを強く申し添えておきます。
また、3人乗り自転車安全利用推進事業では、自動車に過度に依存しない交通体系の実現を目指し、通行環境整備や安全利用の促進等により、自転車を活用したまちづくりを推進していくためのものと理解します。
この3人乗り電動アシスト自転車を活用される方々が自転車の乗り手として模範となり、自転車のまち「さいたま市」をより一層、明確に位置づけることをご期待申し上げ、本事業を評価致します。
続いて議案第153号、本事業は、東京オリンピック・パラリンピックを見据え、DB方式により整備を進めるもので、専門的な知識を有する業者にアドバイザリー業務の委託をするとともに、地質調査・土壌分析を実施するため補正予算として計上されているものです。
本事業をDB方式により整備を進めるにあたりメリットとしては
1.設計施工の責任の所在が明確になる。
2.発注者の調整業務を軽減できる。
3.設計及び施工期間の短縮が期待できる。
4.設計当初から施工の専門家がかかわることによってコスト縮減、時間削減が期待できる。
5.受注者側に設計に関わるリスクを移転できる。
6.事業の早期段階で事業費を固めることができる。等の効果が期待できることから妥当なものと考えます。
また、本事業の効果としては、市内で最も高い高齢化率となっている岩槻区の経済の活性化や、地域の賑わいの創出が期待できるとともに、本市における観光政策やインバウンドに貢献できる事業として可能性を感じることができました。
但し、本施設を整備すれば、それだけで地域経済の活性や賑わいが創出できるというものではなく、回遊性の向上に向けた仕掛けが重要と考えます。よって、想定できる課題や問題点を精査し、「訪れたくなるまち、招きたくなるまち、さいたま市」の実現に向けた施策の導入を申し添えておきます。
続いて、議員提出議案10号についてです。
議員提出議案第10号に賛成の立場で討論いたします。
今回の議案提出の背景にあるのは、決算・行政評価特別委員会の審査のなかで市民活動サポートセンターの運営において、いくつかの課題が浮き彫りになったことであります。
ここで明らかになったのは、指定管理者の管理の基準が十分ではなかったこと、そして本来は公権力の行使に当たる行為について、市の関与がどのようになされるのかという制度に不備があったのではないか、ということです。
つまり、指定管理者が管理運営方法を改善するとか、現在の指定管理者を変えてほかの指定管理者に変えれば解決する、という次元の問題ではなく、条例を含めた制度自体に問題が内在している、という認識であり、その部分について議会の側から行政当局に対し改善を促し、行政のほうできちんと整理していただくための条例の改正案である、と考えます。
ここで強く申し上げておきたいのは、一部の会派が指摘しているような、自由な市民活動を制約するとか、さらには憲法に保障されている表現の自由を侵害する、という指摘はまったく当たらない、ということです。
もとより、憲法21条に保障されている「表現の自由」は、基本的人権のなかでも最大に尊重されなければならない基本的権利です。
なぜ表現の自由が基本的権利のなかでも、もっとも尊重されるべき権利といわれているのかといえば、すべての国民に等しく表現の自由を認めることによって初めて、民主主義が成り立つからです。
つまり、表現の自由は民主主義の土台であるがゆえに、憲法学では、表現の自由を含めた精神的自由については財産権などの経済的自由よりも一段と深く尊重されなければならない、といういわゆる「二重の基準」という法理があるわけです。
ですから、私どもとしては、どういう主張であっても、その表現の自由は必ず守られなければならない、と思っております。
ゆえにこの憲法に保障された表現の自由は、いかなる公権力も侵害が許されません。
故にどういう言論を主張し、プラカードを作ってデモをするのも、まったく自由なのであります。
ただし、公務員がその公的性格ゆえ、政治活動の制約があるのと同様、公的施設である市民活動サポートセンターにおいて、利用の恩恵を受ける活動をする場合に、いかなる市民活動も許されているわけではないのは、誰人も否定できない事実もあります。
「さいたま市市民活動および協働の推進条例」の市民活動の定義のなかで、宗教活動や政治上の主義を推進する活動や、選挙活動を除外しているのは、そのためであると思います。
ところが、そうした規定があっても、実際の運用面において、この規定がどう現実に反映しているのかがきわめてあいまいであったことが決算・行政評価特別委員会の審査のなかで明らかにされた以上は、その部分を行政の側できちんと整理してもらわなければならない、というのも自然の道理であると思います。
そこをきちんと整理し直して再スタートすることによって、これまでより一層市民の福祉が増進される制度としてグレードアップしていくものと確信し、賛成討論とさせていただきます。