(1)屈折検査導入による弱視の早期発見について
○神坂達成議員 御答弁ありがとうございました。少し難しい質問をしてしまいまして、申し訳ありませんでした。 続きまして、2番目、3歳児健診の視覚検査についてお伺いさせていただきたいと思います。
1番目として、屈折検査導入による弱視の早期発見について伺います。母子健康法で定められた3歳児健診は、国が各自治体に実施を義務づけております。しかし、検査方法、その項目は統一されておらず、全国的にばらつきがあるのが現実です。このことから平成29年4月、厚生労働省から、3歳児健診において弱視が見逃された場合には、治療が遅れ十分な視力が得られないため、適切な検査及び指導を実施するよう通達がなされております。
そもそも子供の目の機能は、6歳までにほぼ完成すると言われています。日本眼科医会によると、3歳児における弱視の有病率は2%とされ、大部分の弱視は3歳児健診で早期に発見できれば就学前までに治療することができると公表しており、早期発見、早期治療が重要としております。 そこで、群馬県の事例を御紹介したいと思います。まず、こちらです。群馬県が35市町村において、3歳児健診を導入した平成30年度と導入していなかった平成28年度を比較したデータです。このデータについては、群馬県の担当所管から聞き取り調査を行いました。屈折検査導入前の平成28年度、要精密検査の発見は1.3%だったのに対して、導入後、平成30年では12.9%となり、要精密検査者の検知率は約10倍に跳ね上がっております。 続いて、こちらです。次に、要精密検査と診断された幼児の精密検査の結果、経過観察が必要とされたのは、平成28年度は0.5%に対し、平成30年度は6%となっており、約12倍となっております。
続いて、こちらです。要治療とされた児童の推移は、平成28年度が0.1%だったのに対して、平成30年度は2.3%となっており、要治療者の検知率は23倍となりました。弱視の子供の割合が全体の2%と言われていることを踏まえると、従来の検査方法では健診をすり抜けていたことが示唆されます。
それでは、こちらを御覧ください。群馬県のデータをさいたま市に当てはめてみました。令和3年3月1日現在、3歳児が1万1,278人ですから、2.3%で計算してみると、実に259人が毎年、要治療をすり抜けている可能性が浮かび上がってきます。
ここで、市民から寄せられたメールを御紹介したいと思います。今年、子供が小学校に入学しました。入学前と入学後の眼科健診で異常を指摘され、眼科受診しました。弱視の診断で、治療して眼鏡装着をしています。3歳半の健診では視力検査は保護者が自宅で行いましたが、異常に気づけませんでした。日常生活で気づいてあげられなかった大きな後悔を抱えています。このように保護者任せになり、その結果、保護者が大きな後悔を抱えていることが、さいたま市としてあるべき姿なのでしょうかというものです。市長は、この保護者の悲痛な叫びをどのように感じられたでしょうか。 そこで、伺います。本市の3歳児健診における視覚検査及びその結果はどのようになっているのか、お聞かせください。 また、屈折検査の導入について、本市の見解をお聞かせください。
○髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の2の3歳児健診の視覚検査について、(1)屈折検査導入による弱視の早期発見についてお答えいたします。 本市の3歳児健康診査における視覚検査では、国が示しております乳幼児健康診査身体診察マニュアルに基づき、目に関する問診項目及び視力検査、健診時の診察を行っております。 視力検査は、2.5メートルの距離で、視力0.5に相当するランドルト環単独視標を用いて、左右片眼及び両眼で検査をしております。視力検査は、まず御家庭で実施していただきますが、実施できなかったお子さんにつきましては、定診受診時に再度実施いたします。それでも視力検査ができなかった、あるいは眼標が見えなかったお子さんにつきましては精密検査診査を紹介する流れとなっております。 議員御指摘のとおり、平成29年4月7日、厚生労働省事務連絡、3歳児健康診査における視力検査の実施についてでは、3歳児健康診査において異常が見逃されると治療が遅れ、十分な視力が得られないとの指摘がなされておりますため、家庭における視力検査ができなかったお子さんについては、必ず健診時に再度実施すること。それでも眼標が見えなかった、あるいは視力検査ができなかったお子さんについては、眼科医療機関の受診を促すこととされております。 市といたしましても、3歳児健康診査における視覚検査の重要性については十分認識しており、家庭でのランドルト環を用いた視力検査につきましては、3歳児健診の御案内の中に検査方法をできるだけ分かりやすく御説明した資料も同封しております。健診時には視力検査の結果に加えて、診察時の状況や、ふだんの日常生活で何らかの心配があるかどうかなど、保護者からの聞き取り内容などを総合的に見て、心配があるお子さんについては、眼科での精密健康診査につなげております。その後は、精密健康診査が受診できているかどうかを確認し支援するなど保健指導を行っており、異常の早期発見、早期治療に努めているところでございます。
次に、本市の3歳児健康診査の結果についてお答えいたします。暫定値でございますが、令和2年度の受診者数は1万885人です。このうち眼科での精密健康診査が必要と判断された方は700人、受診者のおよそ6.5%となっております。このうち精密健康診査を受診された方は580人でございました。精密健康診査受診者のうち、弱視や弱視疑いを含む要治療とされた方は130人で、対象者の1.2%となっております。
最後に、屈折検査の導入に関する本市の見解についてお答えいたします。屈折検査については、集団健診方式で3歳児健康診査を実施している自治体の中には既に導入されているところがあり、弱視のより一層の早期発見に役立っていると聞き及んでおります。本市の3歳児健康診査は、個別健診方式でありますが、いずれにしましても早期発見は早期の治療に結びつくことでありますので、導入に当たりどのような方法が考えられるか、先進自治体の実施状況についての情報を収集し、乳幼児健診実施医療機関の医師や眼科医療機関の専門の医師等の御意見をお伺いしながら検討してまいりたいと思っています。
○神坂達成議員 今、さいたま市が個別健診をしているという御答弁がございました。これは平成28年度の乳幼児健診の実施状況の報告書によりますと、この個別健診、全国で1,741自治体のうち、個別健診のみをやっているのは、さいたま市を含め僅か23自治体しかないわけです。さいたま市は非常にレアなケースなんです。集団健診であれば、スポットビジョンスクリーナーを入れて、眼科医に来てもらって、保健師さんも来てもらって、1人当たり10秒くらいで終わりますので、ほぼ的確なデータが出る。でも、個別健診。これは個別健診云々ということについては、それはいい面もあるし、悪い面もあるだろうと思いますけれども、この課題を越えていかなければいけないと思います。 今、副市長のほうからは、要治療者が1.2%だという御答弁がございました。先ほども述べましたけれども、3歳児の弱視は約2%。ということは、8%すり抜けている。群馬県のデータからは2.3%と言った。そう考えると、さいたま市で毎年100名近い方々が、本来、要治療しなければいけない子供たちが、すり抜けてしまっている。現在の制度に大きな問題があるのではないか。問題というか、さらに変えていかなければいけないんではないかと思いますけれども、まずこれについて副市長の御見解をお聞かせいただきたいと思います。 それから、市長は、選挙中、シンカということを掲げられておりました。まさに眼科健診においてもシンカしていかなければいけない。変えていかなければいけない。問題は、子供の視力に関することです。生涯、その目を、就学前までに治療しなければ治らなくなってしまう。逆に、治療すれば必ず治るんだということが、医師会、眼科医の本にも書いてありましたので、こういったことが必要だと思いますけれども、この眼科健診に関するシンカについて、市長からも御答弁いただきたいと思います。
○清水勇人市長 それでは、神坂議員の御質問にお答えしたいと思います。 当市としても、今、議員から御指摘のとおり、3歳児健診におきます視覚検査の重要性については、十分に認識しているところでもございます。また、平成29年4月7日の厚生労働省の事務連絡に基づきまして、現在適切に実施しているところではありますけれども、これから御指摘いただいた先進自治体の例なども参考にさせていただいて、私としては、議員御指摘のとおり、生涯にわたる大変重荷になってくる可能性があるというものだと認識しておりますので、それをどう改善できるか、シンカさせるか、これは大変重要なテーマだと思っております。しっかり検討して実施していきたいと思います。
○髙橋篤副市長 神坂議員の再質問にお答えさせていただきます。 ただいま市長から御答弁いただきましたので、私がということもないと思うんですが、どのくらいのお子さんがすり抜けてしまっているかということにつきましては、データがございませんので、お答えはできないんですが、先ほどの御答弁でも申し上げましたように、異常の関係につきましては、早期に発見することが早期の治療に結びつくというのは十分承知しておりますので、その辺につきましては、今後どのような、さいたま市のほうでよい体制がつくれるか、検討させ
ていただきたいということでございます。
○神坂達成議員 ぜひともよろしくお願いいたします。