4、幸齢社会の実現にむけて

(1) 認知症高齢者ひとり歩きの見守り強化について

4番目、幸齢社会の実現に向けて、(1)認知症高齢者のひとり歩き見守り強化について伺います。人生100年時代を迎え、住みなれた地域で安心して老後を過ごせる環境づくりは、政治に課せられた重要課題にほかなりません。とりわけ認知症は、2030年には830万人に達すると見込まれており、取り組みを急ぐ必要があります。私たち公明党は、幸せに年を重ねていける高齢社会の実現を目指し、認知症施策を重点政策と考えています。昨年、公明党が行った100万人訪問調査運動でも、介護に関連する意見の中で、認知症に対する不安の声が多く寄せられました。 そこで、1点目として、認知症高齢者のひとり歩きの見守り強化についてお伺いいたします。本市では、認知症行方不明者の事案発生に備え、徘徊見回りSOSネットワークを構築しています。平成30年度の支援要請件数は12件でした。一方で、さいたま市内を管轄する警察署で受理した、市内居住の認知症またはその疑いのある行方不明者の推移がこちらでございます。ごらんください。

市内の認知症またはその疑いのある行方不明者の推移を今示しておりますけれども、平成26年、認知症行方不明者はわずか37名でした。しかし、平成28年から一気に300人を突破していることに、正直驚きを隠せません。さらなる増加が危惧されています。 そこで、これらの事態に備えて、見守りグッズの導入が有効と考えます。まず、こちらをごらんください。

東京都大田区で導入されている衣服や靴に張りつける見守りシールとアイロンプリントです。また、入間市で導入されている爪に張るQRコードです。これらのグッズは、ひとり歩きの高齢者が何かのきっかけで家に帰れなくなった場合を想定して、あらかじめ持ち物や衣類に張るものです。ひとり歩きによって、自宅の住所や自分の名前などが伝えられなくても、記載してある地域包括に連絡することで、素早く身元や連絡先を確認することができます。下段の画像は、見守りキーホルダーになります。見守りシールと同様に、事前に緊急連絡先や医療情報を地域包括に登録し、キーホルダーを受け取ります。キーホルダーを常に身につけておくことで、外出先で突然の変調により救急搬送や保護された際、医療機関や警察からの照会に対し、24時間
体制で迅速に情報提供を受けることが可能となります。これらの見守りグッズの導入については、既に東京都や10政令市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、浜松市、大阪市、岡山市、広島市、福岡市においても導入されています。これらの効果については、平成26年9月、国からの「今後の認知症高齢者等の行方不明・身元不明者に対する自治体の取組の在り方について」において、その有効性が示されております。本市においても、超高齢化社会を見据え、見守りグッズの配付を開始すべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。

●髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の4、幸齢社会の実現に向けて、(1)認知症高齢者ひとり歩きの見守り強化についてお答えいたします。 認知症の方のひとり歩きにつきましては、本人の状態や環境により、外出中の事故やけがなどにつながる危険が生じるほか、介護者にとっても身体的、精神的に大きな負担となるなど、社会的に大変大きな課題と認識しております。現在の本市の認知症高齢者の方の見守りに関する取り組みとしては、認知症への理解を深め、地域の住民や企業等の関係者が、認知症の方と正しく接することができる認知症サポーターの養成講座を市内各地で開催しております。この講座の中で、徘回の可能性のある認知症の方への声かけの方法等を実施し、認知症の方を地域で温かく見守ることの啓発や、応援者の充実について進めているところでございます。 また、早期発見に資する事業として、GPSを活用した徘徊高齢者等探索サービス事業を実施しているほか、宅配事業者など包括連携協定を締結している企業等の協力も得ながら、徘徊見守りSOSネットワーク事業の運用を行っております。高齢化の進展とともに、認知症高齢者の増が予測される本市においては、警察との情報共有化など連携を強めさせていただきたいと考えておりますが、今後ともこうした取り組みを通じて、認知症の方が安全に外出できる地域の見守り
体制づくりを強化してまいりたいと考えております。
議員御提案の見守りグッズの導入については、近年御紹介がありました見守りシールやQRコード、見守りキーホルダー等を活用している自治体もふえているものと承知しておりますが、種類も多岐にわたっており、また自治体によりましては、事業効果について低迷が見られるとかという情報もございますことから、各自治体の取り組み状況や効果などを調査し、本市の状況も踏まえながら検討させていただきたいと考えております。

●神坂達成議員 今実績が低迷をしているというお話がありましたけれども、実は実績が低迷しているのは、さいたま市の徘徊見守りSOSネットワークのほうがさらに低迷しています。昨年、この支援の要請件数はわずか12件しかございませんでした。先ほどGPSというお話もありましたけれども、GPS契約者はわずか26人でございます。こちらこそのほうがさらに低迷をしているのではないかと思って、見解を聞きたいのですけれども、時間がないので、次に移りたいと思います。

(2) 認知症事故救済制度の創設について

それでは、(2)認知症事故救済制度の創設について伺います。愛知県大府市で鉄道事故に遭遇した認知症の家族に、JR東海が損害賠償を求めた民事訴訟は、社会に大きな議論を巻き起こしました。平成28年3月に、最高裁がJR側の訴えを棄却したことでひとまず決着しましたが、認知症のひとり歩きにはさまざまな危険が伴います。これらに備え、神戸市では本年4月1日より、認知症と診断された方を対象に、認知症事故救済制度を開始しました。同事業は、市内在住で認知症と診断された方が対象となり、保険料は市が負担するものです。万一何らかの形で認知症の人が責任を負った場合、最高2億円を支給する制度となっています。また、全市民を対象に被害に遭われた場合は、見舞金として最高3,000万円が支払われます。認知症によって、加害者や被害者になった場合を想定し、導入されたものです。このほかにも、神戸市では認知症の人にやさしいまち神戸モデルを策定し、先進的な事業を多数展開しています。 本市においても神戸モデルを参考に、認知症に関する施策のパッケージ化を力強く進めるべきと考えます。認知症事故救済制度の創設について、本市の見解をお聞かせください。

●髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の4、幸齢社会の実現に向けて、(2)認知症事故救済制度の創設についてお答えいたします。 認知症事故救済制度につきましては、制度を導入している複数の自治体があり、指定都市では、御紹介のありました神戸市において、神戸市認知症の人にやさしいまちづくり条例の中で、事故の救済等についても規定するなど、取り組みを進めているものと承知しております。 また、国におきましても本年6月に策定いたしました認知症施策推進大綱で、民間における認知症の発症に備える保険や損害賠償責任保険の普及を後押しするとともに、自治体による民間保険への加入支援に関し、事例の収集や政策効果の分析を行うこととしております。現在本市といたしましては、他の自治体の取り組み状況の把握とともに、今後の国の動向を注視しているところでございます。
議員御提案の施策のパッケージ化につきましては、認知症の方が安心して暮らしていくことができる地域づくりを進めるため、認知症施策について幅広く市民の意見を伺うことを目的として、今年度中に新たに医療、介護関係者のほか、有識者、家族会、公募委員などで構成する認知症の人にやさしい地域づくり推進委員会を開催する予定としておりますので、今後この委員会における御意見等も踏まえつつ、本市の認知症施策の総合的、体系的実施について検討を進めさせていただきたいと考えております。

(3) 認知症グループホームへの入所者支援について

(3)認知症グループホーム支援について。認知症高齢者のグループホームとは、認知症高齢者が家庭的な雰囲気の中、共同生活を送りながら日常生活の介護を受けます。居室、居間、食堂、浴室などを備え、利用者がそれぞれの役割を持って家事をすることにより、認知症の進行を緩和し、安心して日常生活が送れるようになることを目指しています。入所基準は、要支援2以上からとなっています。一方で、特別養護老人ホームの入所基準が要介護3以上からとなっていることと比較すると、入所しやすい施設ともいえます。しかしながら、認知症高齢者グループホームの場合、特別養護老人ホームとは異なり、宿泊コストや食費が介護保険の補足給付の対象外であり、所得に応じた利用料の軽減もあるため、国民年金で生活する方や所得の少ない方にとっては、あきがあっても経済的な理由から入所を諦め、在宅でのケアを続けざるを得ないケースが多々あると伺っております。
このような状況下、八王子市では2018年から市独自の取り組みとして、認知症グループホームの費用負担の軽減策として、特別養護老人ホームで受けられる食費、居住費の負担軽減と同額の月額約4万1,700円から6万6,900円分を助成する取り組みを始めました。また、同様の利用者負担軽減策を導入している地域は、都内だけでも9つの自治体で導入されています。今後、認知症グループホームはその存在価値を増してきます。本市としても、認知症グループホームへの助成制度を創設すべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。

●髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の4、幸齢社会の実現に向けて、(3)認知症グループホームへの入所支援についてお答えいたします。
認知症対応型グループホームの家賃等につきましては、御質問にもございましたとおり八王子市が独自助成を行っているなど、承知しております。経済的理由から認知症対応型グループホームの利用を控える方がいるという状況につきましては、本制度が介護保険制度の枠組みにかかわるものでありますことから、第1には国により対応されるものであると考えております。 本市といたしましては、平成29年度に大都市介護保険担当課長会議を通じまして、厚生労働省に対しまして、家賃等について介護保険制度における補足給付の対象とするよう要望を提出しております。今後も他の政令指定都市とともに、介護保険制度における低所得者対策等について、引き続き国に要望してまいりたいと考えております。

●神坂達成議員 国にばかり任せるのではなくて、市独自の取り組みが必要であると考えます。

(4)まちなかベンチの推進について

次に移ります。(4)町なかベンチの推進について。超高齢化社会を迎えた我が国において、2035年には国民の3人に1人が高齢者となります。高齢者になっても、安全で無理なく歩くことができる基盤づくりは、超高齢化社会に備えた新たなインフラ整備と考えます。今、全国各地では超高齢化社会を展望し、安全で快適な歩行空間の創出を目指し、無理なく歩ける、疲れたら休憩できるスポットとして、町なかにベンチを設置する自治体がふえています。高齢者にとっては、休みながらお買い物に行ったり、散歩途中に疲れたら休憩でき、お友達と会えばおしゃべりができる小さな公共スペースとして注目されています。設置場所としては、公園、バス停、道路、遊歩道、市有地など、さまざまな場所への設置が進められています。

私たち公明党は、この小さな公共スペースとも言える町なかベンチを積極的に設置していくべきだと考えています。当然維持管理の問題、道路幅員の問題など、さまざまな課題があることは理解しているつもりです。ですが、それらを乗り越え、誰もが幸せに年を重ねていける高齢社会への投資として、町なかベンチを推進していく意義は大きいと考えます。国土交通省によると、ベンチ及び上屋の道路占有の取扱いについての一部改正についてでは、ベンチの道路占有許可について高齢者等の交通弱者が多数利用する施設周辺、ショッピングモール、コミュニティー道路、遊歩道などに設置する場合など、道路の歩行者等の利用形態から判断し、地域の実情に応じ、公益上設置することが妥当な場合は許可するものとするとの基本方針が示されています。つまり、道路管理者であるさいたま市が公益上妥当であると判断すれば、町なかベンチを推進することができることになります。 さいたま市では、超高齢化社会を見据え、町なかベンチの取り組みをどのようにお考えになっているのか、見解をお聞かせください。

●阪口進一副市長 神坂達成議員の御質問の4、幸齢社会の実現に向けて、(4)町なかベンチ推進についてお答えいたします。
世界の多くの都市で、町なかを車中心から人中心の空間へ転換し、人々が集い、憩い、多様な活動を繰り広げられる場へと改編する取り組みが進められています。これらの取り組みは、人中心の豊かな生活空間を実現させるだけでなく、地域消費や投資の拡大、観光客の増加や健康寿命の延伸、孤独、孤立の防止のほか、さまざまな地域課題の解決や、新たな価値の創造につながります。
我が国では、超高齢社会の到来に対応するため、多くの高齢者が地域において活動的に暮らせる社会の実現に向けて、まちを歩くことに着目したまちづくりを推進してきており、本年8月からは、居心地がよく歩きたくなる町なかの形成を目指し、事例の情報共有や政策づくりに向けた国と地方のプラットフォームにより、ウォーカブルなまちづくりをともに推進することとしております。本市でも、その理念の方向性に賛同し、今後居心地がよく歩きたくなる町なかの視点を取り入れたまちづくりを進めてまいります。 このようなまちづくりを進める上で、町なかのベンチの設置については、議員御指摘のとおり国の通知に準じて地域の実情や公益上の妥当性等を踏まえ、町なかでのベンチの設置における占用許可を行ってまいります。

●神坂達成議員 ニューヨークでは、戦略的にまちにベンチを2,000カ所も置いているそうでございます。ぜひともさいたま市も進めていただきたいと思います。