3、ダブルケアへの取り組みについて(平成28年6月議会一般質問)

(1)ダブルケアへの認識について
(2)包括的な支援体制の構築について


それでは、次に移ります。
近年、日本では新たなる社会的リスクの浮上が危惧されています。それは、子育てと介護を同時に行わなければならない世帯が増加しているからです。こうした状態はダブルケアと呼ばれています。ダブルケアの背景には、晩婚化による出産年齢の上昇に加え、育児や介護を手伝ってくれる兄弟姉妹の減少といった家族の変化や長寿命化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。ダブルケア研究の第一人者である横浜国立大学の相馬直子准教授らが昨年8月に行った調査によると、30代の女性では4人に1人以上がダブルケアに直面すると推測されるとの結果を公表しました。こうした状況の中、国では昨年6月に女性活躍加速のための重点方針を取りまとめ、ダブルケアの実態調査を行うこと、さらには対策の検討を進めることを明確に打ち出し、本年4月に調査結果を公表したばかりです。
また、ダブルケアへの先進的な取り組みを進める横浜市では、NPO法人が主催するダブルケアサポーターの養成講座に市職員の受講を促す取り組みや特別養護老人ホームの入所決定基準を見直し、ダブルケアの家庭について入所の優先度を上げる取り組みを行うほか、ダブルケアの受け皿となる育児や介護サービスを行う民間企業を育てるため、地元の信用金庫と連携した融資相談事業等を実施しています。さいたま市においても、早晩、ダブルケアは大きな壁となり、市民の前に立ちはだかってくることでしょう。団塊の世代が75歳以上になる2025年、さらには高齢人口がピークに達する2040年に向け、子育てと仕事の両立、介護と仕事の両立にとどまらず、子育てと介護と仕事の並立を図るための支援策の開発が急がれていると思いますが、ダブルケアに対する本市の認識についてお聞かせください。
さらに、昨年の12月定例会の一般質問において私は子供の貧困対策について提案し、執行部からは関係部署と調整するとの答弁をいただきました。子供の貧困対策も、ダブルケア対策も、主に保健福祉局と子ども未来局に担当部署がまたがり、それぞれ所管別に対応することが多いため、支援を必要とする方々に必要なサービスや情報が届きにくいという現状にあります。最終的には相談窓口の一元化や包括的な支援体制の構築が求められますが、一歩ずつこれらの問題への対策を前進させるためにも先進都市に学び、縦割りの壁を越えて、複数の困難を同時に背負う市民を孤立させることが断じてないよう、対策の検討を行うためのワーキングチームを設置すべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。
○清水勇人市長 神坂議員の御質問の3、ダブルケアへの取り組みについて(1)ダブルケアへの認識についてお答えいたします。
本年4月には、内閣府から育児と介護のダブルケアの実態に関する調査の結果として、ダブルケアを行う方が全国で約25万人、その内訳として、女性が約17万人、男性が約8万人おり、年齢別では30代から40代が8割を占めているという推計が公表されました。
また、本市が昨年11月に公表いたしましたさいたま市人口ビジョンでは、35歳以上で出産する割合及び65歳以上の老年人口の割合が年々増加しており、議員御指摘のとおり本市においても近い将来ダブルケア世帯の増加が予想されているところであります。このような中、これまで介護につきましては、高齢者や認知症の方に対する介護の負担が大きいという視点から語られることが多く、介護と同時期に行われる子育てに対する負担につきましては関心が寄せられておりませんでした。しかしながら、今後、晩婚化や晩産化等によりダブルケア世帯の増加が予想されることから、そうした世帯の孤立化を防ぐためにも、既存の高齢介護や子育て支援のサービスに加えて、新たな支援や多様な地域資源の活用によりまして、ダブルケアを行っている方に対する負担軽減を図っていくことが必要であるという認識を持っております。
次に、(2)包括的な支援体制の構築についてお答えいたします。
現在、ダブルケア世帯への支援につきましては、関係部局がそれぞれの立場から対応しております。まず、子育て支援に係る制度の中では、保育施設に係る利用調整に当たり、保育の必要性の総合的な判断の中で、介護を常態としている世帯に対する優先度を高める市独自の基準を設定しております。また、子育てヘルパー派遣事業におきましてダブルケア世帯への対応も行っております。この制度は、保護者が体調不良で、昼間、家事や育児の手伝いをしてくれる方がいない子育て世帯にホームヘルパーを派遣し、家事、育児の援助を行う制度でありますけれども、介護疲れから保護者が体調不良になった場合でも本制度を利用することが可能となっております。
次に、高齢介護に係る制度の中では、市内に27カ所ある地域で暮らす高齢者の介護、福祉、医療などに係るさまざまな相談を受け付けるシニアサポートセンターで実施しております介護者サロンがございます。そこでは、介護をしている方同士が悩みや疑問などについて情報交換したり、あるいは交流を図ったりしておりますので、ダブルケアの支援につながるものであろうと期待しております。
議員御指摘のとおり、部局横断的に包括的な支援体制を構築していくことは、市民サービスの向上の観点からも重要であると考えておりますので、先進事例などを研究して、このダブルケア世帯への適切な支援に向けての体制など含めて検討していきたいと思っております。