平成26年(2014)4月28日(月)から29日(火)、札幌市中央図書館、並びに札幌資料館へ視察に行ってきました。
調査の目的は、同市が政令市として初めて「電子書籍貸し出しサービスの実証実験」を行ったことにおける課題の研究が目的です。
今回の視察では、電子書籍の普及が予測される中、幅広く多様な資料を収集・提供するという役割を担う公共図書館は、紙の書籍だけではなく、電子書籍も提供していくことが必要になってくる。
電子書籍の貸出サービスの実現に向けて、本実験を通じてノウハウを学び、さいたま市においても活用することができるかどうかを学ぶためです。

具体的な調査事項は以下の通りです。

1、電子書籍貸出サービスの実証実験について
(1)実証実験開始の経緯について
(2)事業概要について
(3)その効果について
(4)今後のかだいについて

2、デジタルライブラリーについて
(1)事業概要について
(2)費用対効果について
(3)課題点について
(4)国立国会図書館サーチとの連携について

実験結果を通して、「いつでも、どこでも、本を借り、返せるメリットを有する電子書籍を図書館が提供することについて、7割以上が希望している。
ジャンルと電子書籍数の充実が一番の課題となっているところ、札幌に関連した書籍への注目度が高い。
札幌を中心とする道内16社から協力を得て、196冊の本を新たに電子化できた。
著作権の処理ができれば、図書館に電子書籍を販売するメリットを出版社が感じていることもわかった。
また、札幌市が発行した資料は、一部、著作権上の問題があったが、大量に電子化することができた」等々を学ぶことができました。

また、今後の課題と今後の対応については、「電子書籍貸出サービスの導入にあたっては、電子書籍の種類・数の確保が課題であり、図書館向けの電子書籍の購入、札幌市の刊行物や館内閲覧のみの資料(著作権処理可能なもの)の電子化、無料電子書籍ホームページの情報提供も検討していく。
特に、札幌市関連の資料提供は本市の魅力を後世の世代を含め、広く伝えることになり、大きな意義があり、その実現に向けては、地元出版社や札幌市の各部署等と積極的に調達ルール等を協議していく。
これらの取り組みにより、電子書籍の貸出可能点数は紙書籍に比べて多くないが、利用しがいのある書籍・資料群が構成され、24時間、簡単に貸出・返却ができる利便もあわせ、貸出利用は増えると見込まれる。
また、利用者PRや図書館どうしの共同研究、学校現場での利活用などもあわせて行い、利用促進を進める。」など貴重な勉強をさせていただきことができました。

次に、札幌市中央図書館デジタルライブラリーについては、H15~16年度に郷土資料の貴重書と教育会和書をデジタルマイクロ化を行いデジタルライブラリーとしてインターネット上に公開が始まったものです。
今後の課題としては、傷みが激しい地図や書籍をデジタル化し希少本や古地図を保存し、貸出禁止するそうです。
電子書籍との相違点はテキストデーターの検索はできないこと。
ただし画質を保ったままの拡大ができるなど希少本や傷みの激しい古書等を保存し後世に残していくためには、必要不可欠の事業であることを認識することができました。
今回の視察を通していずれの事業もさいたま市では実施されておらずその必要性を痛感する視察となりました。
これらについては6月議会で質問させていただく予定です。

29日には札幌市資料館に伺いました。
札幌市資料館は、大正15年(1926)に札幌控訴院として建てられた建物です。札幌軟石を使った建物としては全国的にも貴重なものであり、平成9年(1997)5月には国の登録有形文化財に選定されました。

裁判所の移転に伴い、昭和48年(1973)11月3日に札幌市資料館として開館しました。以来、札幌の歴史を紹介する施設として広く親しまれてきましたが、これまで館内で歴史展示室および郷土史相談・市史編さんなどを行ってきた文化資料室が移転したことから、平成18年11月にリニューアルを行い、控訴院時代の法廷を復元した「刑事法廷展示室」や「街づくりの歴史展示室」、「法と司法の展示室」の常設展示室等を設置しました。
また、平成23年10月4日から新渡戸稲造が創設した「遠友夜学校記念室」も加わりました。その外に「おおば比呂司記念室」や貸室として「ミニギャラリー」、「研修室」がありました。

同資料館を視察し感じたことは、歴史ある建物をどの様に保存し管理していくかということです。
公共施設マネージメントは重要ですが、当然古い建物であれば耐震基準を満たしておらずその活用と保存方法は本市においても重要な課題であると思います。
今後もこれらの問題について調査研究を続けてまいりたいと思います。