平成26年5月15日~16日にかけて、視察に行ってきましたのでご報告いたします。
調査研究テーマは、うつ病対策並びにMAIC政策の推進についてです。
調査場所は、沖縄観光コンベンションビューロ、多言語情報センター委託業者である「ドリームアーツ沖縄」(民間企業)です。
調査項目は多言語情報センターによる
(1)沖縄のおもてなしについて
(2)効果について
(3)今後の課題について
を確認してまいりました。
沖縄観光コンベンションビューロが実施している多言語情報センターの委託業者である「ドリームアーツ沖縄」では、多言語コミュニケーションサービスプロジェクトとして、外国人観光客・在留外国人への接客サービスをおこない、電話通訳サービス(中国語・英語・韓国語)やコンタクトセンター業務を行っていました。
また、発信をしたい沖縄情報をSNS、Twitter、ブログ等で多言語発信し、その魅力を余すことなく伝えていました。
海外旅行者が1千万人を超えた昨今、さいたま市においても多言語による情報発信は必要不可欠であると思います。
そういった意味からも、民間企業である現場での生の声を聴けたことは有意義な時間となりました。
今後、さいたま市における観光政策として、この多言語情報センターの有効性について議会で取り上げていく予定です。
また、沖縄県総合精神保健福祉センターでは、うつ病デイケアについて視察してまいりました。
調査項目は認知行動療法(CBT)を中心とした「うつ病デイケアの概要と有効性」についてで
(1)うつ病デイケア導入の経緯について
(2)事業概要について
(3)事業効果について
(4)今後の課題について
を確認してまいりました。
うつ病デイケアと自殺者対策における認知行動療法(CBT)の導入について
厚労省によると、精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年大幅に増加しており、なかでもうつ病が95万8千人でトップとなっています。
WHOの将来予測では、うつ病は2020年に総疾病の第2位になるとしています。
近年、先進諸国においても「精神疾患」を「がん」,「心臓疾患」とならぶ三大疾患と明確に位置づけ、国の最優先課題の一つとしています。
うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なるなど、様々な理由から脳の機能障害が起きている状態です。
脳がうまく働いてくれないために物の見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じてしまいます。
そのため普段なら乗り越えられるストレスもより辛く感じてしまうという悪循環が起きてきます。
このような状況下で、長期のうつ病に苦しむ人のため先進的な取り組みをされているのが沖縄県総合精神保健福祉センターです。
同センターが取り組んでいるうつ病デイケアは、認知行動療法(CBT)を取り入れた取り組みで、否定的な考え方や行動を前向きに修正するトレーニングを行い、再発防止や前向きな行動パターンの確立を目的としています。
注目すべきはプログラム修了者のその後です。
デイケア開始前は「最重症」の患者が、三カ月後には「寛解・正常」まで改善、うつ症状を数値で示す「客観的評価」「自己評価」では、九割以上の患者の症状が改善したとしています。
現在、うつ病は投薬による治療が一般的ですが、認知行動療法と並行して治療を進めることでその効果は更に高まります。
早めに治療を始めるほど、回復も早いとされています。
本市においても先進事例に学び、認知行動療法を取り入れた「うつ病デイケア」を創設すべきと考えます。
また、うつ病と自殺者については、深い因果関係があります。
WHOが精神疾患と自殺との関係について調べた調査においても、精神疾患が原因で自殺した人のうち約3割がうつ病に該当したという結果が報告されています。
つまり、うつ病は死にかかわる問題です。
本市の平成23年度の自殺者数は268人。
また、消防局によると平成25年度の自損行為(いわゆる自殺未遂)による緊急出動は693名となっており、高い水準の状態が続いています。
本市としてもゲートキーパーを配置するなどの取り組みは承知しております。
しかし、そこで問題なのがゲートキーパーの構成員の比率です。
その比率は、学校の先生、ケアマネジャーが大半を占めているのです。
よってその効果は子供たちや高齢者に限定的なものとなっているのではないでしょうか?
自殺率が最も高い20代~60代への予防策としても認知行動療法を用いたうつ病デイケアの設置は自殺者対策としても有効だと思いますので、今後これらについて議会で取り上げていく予定です。