1、障害者優先調達推進法施行における本市の取り組みについて
(1)優先調達推進法施行における本市の検討状況について
(2)公契約による障害者の就業促進について
(3)障害者優先調達推進法施行における本市のヒューマン・ファクターについて


○神坂達成議員 こんにちは。公明党の神坂でございます。通告に従いまして、順次質問させていただきます。
 それでは、まず1点目、障害者優先調達推進法施行における本市の取り組みについて、優先調達推進法施行における本市の検討状況についてお伺いいたします。
 本年4月、障害者優先調達推進法が施行されました。同法では、自治体に対し、障害者が就労施設でつくった製品の購入や清掃などの業務委託を優先的に行うよう努力義務を課すとともに、障害者施設の受注機会の拡大を図るよう求めております。障害者雇用を推し進めていく根底には、ノーマライゼーション社会の実現があります。障害者がごく普通に地域で暮らし、地域の一員として、ともに生活できる社会を実現するには、職業による自立を進めることが重要です。これらを実効性のあるものとするために、1、物品の調達目標を定めた調達方針の公表、2、その方針に即した調達の実施、3、調達実績の公表が求められております。本市における障害者就労施設等の受注機会の拡大に向けた目標値や調達方針はどのように検討されているのか、お聞かせください。
 次に、公契約による障害者の就業促進について伺います。
 まずは、表1をごらんください。

これは平成13年度から始まった岐阜県のハート購入制度です。同制度は、積極的に障害者を雇用している県内の中小企業から物品や役務を優先的に調達する制度で、年間を通じて毎月初日の障害者雇用率が4%以上の企業を対象に随意契約による優先発注を実施し、障害者雇用率向上に向けた先進的な取り組みがされております。
 続きまして、表2をごらんください。

 こちらは岐阜県と同様の制度で、障害者の法定雇用率の2倍以上の企業に対し、随意契約に物品調達優遇制度を導入している地域です。政令市では、仙台市、新潟市、名古屋市、広島市、福岡市、また県では11県で既に導入されております。
 一方、さいたま市では、法定雇用率1.8%達成の優遇措置として加点方式を導入しています。また、総合評価方式においても、同様の加点方式が採用されています。しかし、企業のコンプライアンスとして、本来障害者の法定雇用率は遵守されるべきものです。本市が行っている加点方式では、法定雇用率を遵守すれば加点対象となり、さらなる障害者の雇用にはつながりません。また、本市の制度では、登録時に法定雇用率を満たしていれば、登録後すぐに障害者が離職しても、その効力は2年間有効で、職場になじめなかったり、無理解やいじめが原因でやめてしまうなど、離職率の高い障害者の雇用現場にあって、同制度は何ら実態にそぐわなくなったとしても、チェック機能すらありません。逆に、加点目的で登録のときだけ障害者を雇用し、その後すぐに首を切ってしまうなど悪用されてしまう可能性も否定できず、公平、公正な制度の確立が求められるところです。これらの問題解決や障害者の一般就労率向上のためには、新たなる優先発注制度を早急に確立すべきです。制度が確立されれば、障害者の一般就労への機会を増加させます。本市としても先進都市の事例を参考に優先発注制度を確立すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
 続いて、障害者優先調達場合法施行における本市のヒューマン・ファクターについてお伺いします。
 この優先調達推進法によってさまざまな努力義務が基礎自治体に課せられたことは、さきにも述べましたが、これらを障害者に寄り添い、実効性のあるものにしていくためには、財政局、保健福祉局、経済局等が一致団結して取り組まなければなりません。複数の部局にまたがる調整をスムーズに推進していくためには、市長のリーダーシップはもちろんのこと、ヒューマン・ファクターである事務方の協力なくしては実現困難だと思います。
 そこで、お伺いいたします。優先調達推進法施行における推進体制について、誰がどのようにコーディネートしていくのか、見解をお聞かせください。
○清水勇人市長 神坂達成議員の御質問の1、障害者優先調達推進法施行における本市の取り組みについて、優先調達推進法施行における本市の検討状況についてお答えいたします。
 平成25年4月1日より障害者優先調達推進法が施行されました。この法律の目的は、障害者就労施設等が供給する物品及び役務に対する需要の増進等を図り、もって障害者就労施設で就労する障害者の自立の促進に資することであります。私自身も、これまで現場訪問の機会などを通じましてて、さまざまな障害者施設を訪問してまいりました。障害の程度や種別が異なるなど、さまざまな状況の中で、与えられた仕事に精いっぱい取り組んでいただいております利用者の皆さんのお姿に接し、障害のある方が真に自立できる環境をつくっていくことの必要性を痛感したところでもございます。
 そのため、障害者の雇用を取り巻く課題が多い中、障害のある方の自立に向けて、さきの市長選挙でお示ししました新しあわせ倍増計画におきまして、障害者雇用事業所や支援施設等の物品を行政が優先的に購入する制度の推進を掲げました。障害のある方の働く場をより充実させていくためにも、本市において障害者優先調達に関する取り組みを推進していくことが重要であるというふうに考え、私が本部長を務める障害者施策推進本部会議におきまして障害者就労施設等からの優先調達について、幹部職員に対して指示したところでございます。
 今後、本市におきましても障害者就労施設等からの優先的な調達の一層の推進を図るため、年度内に調達方針の策定及び公表を行う予定でございます。調達目標値といたしましては、前年実績を上回る件数を設定することとして、次年度以降におきましても計画的な調定を推進していくために、前年度の目標件数をもとにした段階的な引き上げを検討しているところでございます。また、障害者を多数雇用する企業を認定し、優先調達の相手方として登録するための基準の作成を行うほか、障害者福祉サービス事業所等が提供する物品等について、各部局が調達を円滑に進めることができるよう情報提供を行うなど、障害のある方が真に自立できる地域社会の構築に向けて、ノーマライゼーション条例のさらなる実現を目指して、全庁をあげて障害者の皆さんのしあわせ倍増に向けて取り組んでいきたい、このように考えております。
○大塔幸重保健福祉局長 神坂達成議員の御質問の1、障害者優先調達推進法施行における本市の取り組みについて、公契約による障害者の就業促進についてお答えいたします。
 優先調達推進法の施行に伴い、先進自治体では公契約制度の見直しにより、障害者の就業促進が進められているところでございます。現在、議員がおっしゃられたように、岐阜県においては、従来の地方自治法施行令の規定に基づく特定随意契約により障害者の就労支援施設から物品等を調達する手段に加えて、法定雇用率を大幅に上回る障害者を雇用している企業に対しても優先的な物品等の発注を実施しております。具体的には、障害者雇用努力企業としての認定や登録名簿の作成、年間の発注見通しの設定及び調達実績の公表を行うことにより、障害者の就労支援施設等からの積極的な物品等の調達に努め、受注の機会の確保を図るものでございます。
 本市の調達制度におきましては、競争入札参加資格申請時に審査項目として、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく法定雇用障害者数の達成状況、または雇用義務はない業者の雇用状況を設定しており、その状況に応じて資格審査数値に加点しております。競争入札参加資格は登録後2年間は有効となり、障害者の雇用人数の増減を随時参加資格に反映させることは困難ではありますが、公平、公正な調達制度のあり方を引き続き検討してまいります。
 加えて、今後、先進都市の事例を研究しながら、障害者優先調達推進法に基づく調達方針を策定することとし、障害者を多数雇用する企業の認定及び登録を行い、その企業に対する優先的指名等の具体的な取り組みを進めてまいります。
 次に、障害者優先調達推進法施行における本市のヒューマン・ファクターについてお答えいたします。
 本市の障害者優先調達方針の策定につきましては、適用範囲が法に基づく国の基本方針において各機関のすべての内部組織とされており、本市のすべての機関が発注する物品等の調達に適用することから、各部局が積極的に優先調達を進めるよう、市長を本部長とする障害者施策推進本部会議を通じて周知徹底を図り、全庁をあげて障害者優先調達に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○神坂達成議員 2点、再質問させていただきます。
 まず、今、障害者施策推進本部長である市長にぜひともお伺いしたいというふうに思います。
 まず、昨年度でございますけれども、さいたま市、いろいろな工事を発注しております。工事関係、また業務委託関係等ありますけれども、昨年度、さいたま市が発注したのは全部で576社ございました。このうち法定雇用率を達成している、いわゆる加点された企業というのは、さいたま市においてわずか60社、パーセントにすると10.4%しかございませんでした。非常に少ない数字であるというふうに思います。また、業務委託をされた会社も594社、さいたま市からございましたけれども、こちらでは157社、26.4%しかなかった、こういった低い状況を変えていく。当然民間企業ですので、景気の問題等もありますけれども、市がしっかりとしたインセンティブを与えていく、誘導策をとっていく。そのための随意契約の優先発注制度、こういったものは必要ではないかと思いますけれども、まずお聞きしたいというふうに思います。
 その後、もう一点は、局長のほうから、先ほど障害者の雇用人数の増減を随時参加資格に反映させることは困難であるという御答弁がございましたけれども、私が視察に参りました新潟市では、その前年の年間を通した雇用率が達成していれば、その年に発注制度を行う、随意契約で行う、こういった制度をとられておりました。困難というふうにおっしゃられておりましたけれども、そういった方式をとることによって困難ではなくなるのではないかというふうに思いますけれども、御見解をお聞かせください。
○清水勇人市長 神坂議員の再質問にお答えしたいと思います。
 まず、本部長として、民間企業に私どもからいろいろな形で働きかけをしたり、あるいは民間企業が障害者の雇用率を高めていくための環境づくり、インセンティブを与えていくということの必要性は私どもも痛感をしているところでもございます。今、新潟市の事例が出てまいりましたけれども、新潟市あるいは岐阜県など、先行的に進んでいる自治体の事例なども十分に参考にさせていただきながら、今後どういった形で障害者の雇用の促進が図れるかということについても検討を積極的にやっていきたいというふうに思っております。
○大塔幸重保健福祉局長 神坂議員の再質問にお答えいたします。
 新潟市において指名競争入札、前年の雇用率に応じて対応しているという御質問でございますが、我が市の競争入札参加資格については、現状2年間、登録して2年間有効ということになっておりますので、この点も含めて、今後、公平、公正な調達制度のあり方について、所管である部局と協議を進めてまいりたいというふうに考えております。