(1)行政事務のデジタル化について

2番目、ウィズコロナ時代におけるスマート行政への転換について伺います。(1)行政事務のデジタル化について。令和2年4月20日、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策が閣議決定され、一律10万円の特別定額給付金事業が実施となりました。給付に当たっては、各自治体がその事務を担いましたが、人口規模が大きい自治体ほど給付が遅れる傾向が浮き彫りとなりました。
一方、給付金を待ちわびる市民からは、遅い、まだか、いつになるとの問合せが殺到するとともに、給付事務に当たった職員は事務作業に忙殺されました。今回、給付事務が滑らかに進まなかった理由として、行政事務のデジタル化が進んでいないことが挙げられます。自治体は、マイナンバーを使ってオンライン申請されたものを1枚1枚プリントアウトして、手作業でチェックしなければならなかったことは、事務の効率化という観点からも改善していかねばなりません。今回の課題を踏まえて、行政事務のデジタル化への転換について、市の見解をお聞かせください。

(2)スマート行政の導入について

①行政窓口におけるオンライン申請について
②押印慣行の見直しについて
③住民票等の発行手数料のキャッシュレス決済について

コロナ禍、自治体窓口においても新しい生活様式が求められており、感染拡大に配慮するとともに、3密を避けなければなりません。しかしながら、例年3月、4月は区役所の窓口も大混雑することから、新たな取組を模索していかなければなりません。
そこで、①オンライン申請を活用したスマート行政について伺います。スマート行政の先進都市として、福岡市の取組は有名です。福岡市は転勤族が多く、引っ越しシーズンには待ち時間が最大2時間にも及ぶことがあり、さいたま市と同様の課題を抱えておりました。そこで、区役所における待ち時間の短縮及び効率化、効果的な行政運営の一環として、平成30年6月より行政手続のオンライン化を導入しました。私が調査した令和2年8月末現在、218に及ぶ手続がオンライン化されていました。サービスには、国民健康保険の住所変更や子ども医療証の発行、教員採用試験の申込みなど幅広く含まれています。オンラインサービスの導入によって、利用者は事前に必要事項の仮入力を行い、来庁時には優先的に案内を行うことから、大幅な待ち時間の短縮につながっています。一方で、全ての市民がスマホやパソコンの扱いに慣れているわけではありません。そこで、福岡市では、現場で代理入力する窓口を設置し、多くの市民がサービスの恩恵を受けられるよう配慮しています。住民サービスの向上、行政事務の効率化という観点からも、スマート行政への転換が必要です。市の見解をお聞かせください。
次に、②押印慣行の見直しについて伺います。福岡市では、行政手続における市民の負担を軽減するとともに、オンライン化しやすい環境づくりのため、国や県の法令等で押印が義務づけられている申請書以外は、全て押印義務づけを廃止する取組を進めています。平成31年からスタートし、令和2年8月末現在、約4,500種類ある申請書のうち、約2,700種類で押印義務を廃止しています。国においては、ペーパーによる提出、押印、対面を求めている全ての行政手続について、年内に必要な検討した上で、法令改正を行うことを閣議決定しています。さらに、経済界においても、政府と経団連が押印に基づくビジネス様式の転換を訴える共同宣言を発表しています。市においても、押印慣行からの脱却が求められています。市の見解をお聞かせください。
③番、住民票等の発行手数料のキャッシュレス決済について伺います。平成18年、地方自治法改正により、市税や手数料等をクレジットカードにより支払うことが可能となりました。この地方自治法の規定を根拠に、平成31年3月29日付通知により、総務省は電子マネーによる支払いが可能であることを示しました。現在、さいたま市では、平成30年4月から市税のクレジットカード納付を開始していますが、スマホアプリによるキャッシュレス決済に対応しておりません。今やスマートフォンの普及率は高まり、お財布代わりとして利用するキャッシュレス決済は拡大しつつあります。コロナ禍における新しい生活様式が求められる中、現金を使わないことによる感染拡大防止、市民の利便性向上、現金管理がなくなることによる行政事務の簡略化などに資するものと考えます。
同様の取組は、神戸市や福岡市でも既に始まっています。特に神戸方式では、複数のスマホアプリ決済に対応した仕様となっており、先進的となっています。今後、事務手数料のほかにも、施設の利用料や市税納付にも活用していけます。スマホアプリを活用したキャッシュレス決済導入について、市の見解をお聞かせください。

●清水勇人市長 神坂達成議員の御質問の2、ウィズコロナ時代におけるスマート行政への転換について、(1)行政事務のデジタル化についてお答えしたいと思います。
議員御指摘のとおり、特別定額給付金を含めた今般の感染症対策を通じて、我が国の行政分野におけるデジタル化の遅れが明らかになったところであります。国では、経済財政運営等改革の基本法2020におきまして、デジタルガバメントの構築を最優先政策課題して位置づけ、国、地方公共団体を含めた行政全体のデジタル化を推進していく方針が打ち出されております。今回の特別定額給付金のような各種給付金を含めた公金の受け取り手続の簡素化、迅速化について、マイナポータルの活用やゆうちょ銀行口座へのマイナンバー付番等による公金振込口座設定の検討を、国主体で進めることとされております。
本市としましても、行政事務等デジタル化については、喫緊の課題であるという認識をしております。これまでも保育所の入所選定におけるAIの活用であったり、あるいは高齢介護業務へのRPA導入など、新たなICTの活用にも取り組んでおります。今後は、国におきまして、今いろいろな事務の標準化のモデルなどもつくっておられますので、そういった流れも十分に踏まえた上で、ICTを最大限に活用した市民サービスの向上と業務の効率化に向けて、全庁を挙げた体制をしっかりと組んで取り組んでいきたい、このように考えております。

●髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の2、ウィズコロナ時代におけるスマート行政への転換について、(2)スマート行政の導入について、順次お答えいたします。
まず、行政窓口におけるオンライン申請についてでございますが、本市では令和元年度時点で75の手続をオンライン化しておりまして、約2万件の利用がございましたが、一層の拡大が必要であるとの認識を持っております。議員の御質問にございました福岡市の事例につきましては、本市でも把握しているところであり、待ち時間の短縮といった市民サービスの向上につながるものと認識しております。そこで、本市におきましても、オンライン化のさらなる推進を図るため、本年6月に改めて全庁の窓口手続について、オンライン化や窓口予約の可能性があるものの調査を行いました。現在、内容の精査を進めているところでございます。今後は、その結果と併せ、福岡市など先進自治体の事例も参考にしながら、人との接触の低減が求められるウィズコロナ、ポストコロナ時代の新しい生活様式を実現する一つの方策として、また市民サービスの向上策として、窓口手続のオンライン化に積極的に取り組んでまいります。その際、パソコンやスマートフォンに不慣れな市民に不便が生じないよう、先進市の事例をよく研究してまいります。
次に、押印慣行の見直しについてお答えいたします。御指摘のとおり、国の規制改革実施計画におきまして、新型コロナウイルスの感染防止やデジタルガバメントの実現の観点から、書面規制、押印、対面規制の見直しを行っていくこととされております。本市におきましては、窓口手続のオンライン化への取組を強化しているところであり、そのために全庁的な窓口業務の見直しを検討していく必要があると認識しているところでございます。窓口手続のオンライン化の検討に当たりましては、そもそも慣例的に押印していたものの見直しや、押印に代わるマイナンバーカードによる公的個人認証等への転換に加えまして、紙による添付書類の見直しなどの窓口業務の簡素化、効率化も併せて検討していくべきものと考えております。したがいまして、議員御指摘の押印慣行につきましては、窓口手続のオンライン化への取組に際しまして、全庁横断的な見直しを進めてまいります。
次に、住民票等の発行手数料のキャッシュレス決済についてでございますが、現在住民票の写しや税証明発行手数料のお支払いにつきましては、現金のみの対応となっております。クレジットカード決済や議員御指摘のスマホアプリ決済などのキャッシュレス決済は、市民の利便性の向上という観点からも必要性が高まっていると考えております。加えて、現金のやり取りがないことが、今般のコロナウイルスをはじめ、感染症の拡大防止につながることも期待され、本市といたしましても導入を前向きに検討してまいります。
また、本市では、市民の利便性の向上と収納事務の効率化を図るため、市税など公金の納付機会の拡大を行っており、納付方法や決済手段の拡大につきまして、引き続き課題の整理を行い、推進してまいりたいと思います。

●神坂達成議員 私は、政令指定都市は地域のリーダーであると思っています。さいたま市がどんどんオンライン化を進める。キャッシュレス化を進める。そういったことを政令指定都市がまずやっていくことによって、埼玉県全体、地域を引っ張っていける、このように思っておりますので、ぜひともさらなる推進をお願いしたいと思います。