(1)ひとり親家庭における養育費不払い解消と相談体制の強化について
それでは、次に移ります。6番、子供の貧困対策について、(1)独り親家庭における養育費不払い解消と相談体制の強化について伺います。厚生労働省が公表している平成30年度人口動態統計によると、婚姻件数は約58万6,000組、これに対し離婚件数は20万8,000組となっており、約3組に1組が離婚に至っている実態が明らかとなっています。そのうち、未成年の子供がいる離婚件数は12万6,000組で、未成年の子供が約22万人となっています。つまり、年間22万人の子供が親の離婚に巻き込まれていることになります。また、平成28年度全国ひとり親世帯等調査によると、母子家庭の平均所得は、子供のいる世帯のおよそ半分となっています。その中で、養育費を受け取っているとの回答は24.3%の低水準となっており、多くの母子家庭が養育費をもらえず、苦しい生活を余儀なくされている実態が浮き彫りとなっています。また、2019年国民生活基礎調査によると、子供の貧困率は7人に1人と高く、先進7か国の中で高水準となっています。これらのことから、養育費の支払い確保は、独り親世帯が苦しむ貧困問題に直結しており、公的支援の必要性は明らかです。
これらの問題を受け、国においても本年7月1日、女性活躍加速のために重点方針2020において、養育費不払い解消に向けた法改正の検討が始まりました。また、重点方針として、地方自治体と連携したモデル事業の実施がうたわれております。既に2019年度からは、大阪市、福岡市、2020年度からは、神戸市、堺市、仙台市においても公的支援が開始されています。大阪市で導入した養育費確保のトータルサポート事業は、周知事業から始まり、保証会社等の養育費の保証契約を締結する際の本人費用負担までサポートを行っています。さらには、公証役場への同行支援、公正証書作成に係る本人費用の補助など、きめ細やかな支援メニューとなっています。
私は、本年2月の予算委員会で、大阪方式の導入を求めたところ、副市長からは、最適な支援方法について研究させていただきたいとの答弁が示されました。国も本格的に養育費不払い解消へ動き出しました。いよいよさいたま市が養育費不払い解消へ一歩踏み出すときです。市の見解をお聞かせください。
●髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の6、子供の貧困対策について、(1)独り親家庭における養育費不払い解消と相談体制の強化についてお答えいたします。
議員の御提案を踏まえ、先進的である大阪市をはじめとした養育費の確保支援策の事例を研究しました結果、本市といたしましては、従来の相談機能の強化に加えまして、養育費の取決めに関する公正証書の作成支援と、養育費の確実な支払いの保証支援を一緒に考えて制度を構築していくことが、実効性を高めるために有用であるというように考えております。このため、まずは現在実施しております養育費に関する弁護士相談を御利用された方に対しまして、養育費の不払い解消に向けた支援ニーズの調査を行いたいと考えております。公正証書の作成、養育費の保証支援に加え、そのほかにも支援施策のニーズがあれば、検討の選択肢に加えたいと考えております。あわせて、現在独り親家庭の相談窓口として設置しておりますひとり親家庭等就業・自立支援センター相談員のスキルアップを図るため、相談支援センター主催の養育費等の相談に関する地域研修会に参加させるなど、さらなる相談員のスキルの向上を図ってまいりたいと考えております。
議員御指摘のとおり、国におきましても本年7月に策定した女性活躍加速のための重点方針2020において、養育費の相談支援について、多様な方法での提供や身近な地域での伴走型の支援、専門的な相談をさらに充実強化することのほか、養育費制度を見直すための法改正を検討することが掲げられております。今後も国の動向を注視しながら、調査の結果や養育支援のニーズを踏まえまして、公正証書の作成、養育費の確実な支払いの保証を一連で支援する方策など、支援制度を構築できるよう検討してまいります。
●神坂達成議員 この子供の貧困対策、独り親の養育費不払いについては、もう既に1年間くらいずっと全国の政令指定都市を調査したりとか、取組を進めてきました。その中で、今日、さいたま市としても様々な取組を進めるということで御答弁いただいて、本当に何か一つ肩の荷が降りたなと思います。いつも髙橋副市長とは激しいやり取りばかりやっているんですけれども、今日、この答弁ばかりは大変にうれしいなと思いますので、引き続きどうぞさらなる取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。