(1)高齢者の詐欺被害撲滅について

それでは、続きまして7番、ストップ詐欺被害、(1)高齢者の詐欺被害撲滅についてお伺いいたします。全国的に犯罪認知件数が大きく減少する中、高齢者などを狙った詐欺は続発しており、その被害はいまだ深刻です。忍び寄る詐欺被害から高齢者を守るためには、継続的な啓発活動とさらなる対策強化が必要です。これまで私は、自動通話録音装置の無償貸し出しを提案するなど、詐欺被害撲滅への取組を進めてまいりました。がしかし、高齢者を狙った詐欺被害のニュースが消えるには至っておりません。
そこで、こちらを御覧ください。視察に伺った東京都板橋区でお借りした簡易型自動通話録音装置です。同製品は、板橋区が詐欺被害防止と財政負担の軽減を両立させるため、区内業者に依頼し、開発した機器です。サイズは、縦が約7センチメートル、横が約4センチメートルの大きさで、1個当たりの単価は約500円となっています。製作に当たって板橋区が求めたコンセプトは、高齢者でも簡単に設置できること、犯人に警告を与えると同時に、高齢者本人にも危機意識を持ってもらうことだったそうです。平成30年1月に試作品が完成し、同年5月、板橋区では2,000台を購入し、市民への無償配布を開始しました。導入効果については、特殊詐欺被害認知件数が対前年比、都内全体が7.3%減に対し、板橋区は35%減で推移し、抑止効果が発揮されたのではと担当者は説明してくださいました。この取組は、NHK「ストップ詐欺被害!私はだまされない」や「おはよう日本」でも紹介され、反響の大きさに担当者も大変に驚いたと語っておられました。
現在、市で無償貸出ししている自動通話録音装置は、設置まで含めると1台当たり2万3,000円の費用負担が発生しています。当然簡易型とは性能や耐久性などと比べ、比べものにはなりません。しかしながら、500台の予定数に対して、倍の1,000件を超える申込みが殺到している現状を考えると、簡易型の無償配布も並行して実施すべきです。高齢者への詐欺被害は、手を替え品を替え忍び寄ってきますが、大半が一本の電話から始まっていることに着目すれば、たとえ簡易的な装置でも犯罪の抑止力になると考えます。市の見解をお聞かせください。

●日野徹副市長 神坂達成議員の御質問の7、ストップ詐欺被害、(1)高齢者の詐欺被害撲滅についてお答え申し上げます。
本市の令和元年における詐欺被害の状況につきましては、詐欺件数は254件、被害金額は5億2,639万円となり、前年と比較しますと若干の減少傾向にありますが、議員御指摘のとおり、依然として市内で多くの詐欺被害が発生している状況でございます。特に65歳以上の高齢者の詐欺件数に占める割合が高く、令和元年では86%を占めており、高齢者に対する詐欺被害の防止が課題となっているところでございます。 本市では、65歳以上の高齢者の詐欺被害防止の取組として、平成28年度から65歳以上のみの世帯や日中は高齢者のみになる世帯を対象に、先ほどお話がございました自動通話録音装置を年間約500台、令和元年度までには合計2,000台の無償貸与を実施したところでございます。この自動通話録音装置を新たに設置した方々に実施しておりますアンケート結果によりますと、多くの方々が悪質な勧誘などが減ったと実感しており、設置したことで安心感が得られたとの御意見をいただいているところでございます。今年度につきましても、500台の自動通話録音装置の無償貸与を実施してまいります。また、振り込め詐欺防止ポップシールを作成し、各区役所やシニアサポートセンター等の多くの高齢者が立ち寄る施設の窓口で配布し、詐欺被害防止を呼びかけてまいります。
神坂議員御提案のございました簡易型自動通話録音装置の活用につきましては、犯罪の抑止につながると考えられますので、自動通話録音装置の抽せんで漏れた方々に無料配布するなど、詐欺被害防止の取組の一つとして活用し、高齢者の詐欺被害の防止に努めてまいりたいと考えております。

●神坂達成議員 ありがとうございました。簡易型の自動通話録音装置については、既に大阪府警が無償で6,000台配布するなど、また横浜市が検討するなど、様々な地域で検討が進んでいます。当然落ちた500人の方にということもあるでしょうし、さらに今後まだまだ振り込め詐欺被害が減らない、なくならないという中で、事業を拡大していただいて、一人でも多くの方を詐欺被害から守れるような取組の拡大をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。