(1)子どもの貧困対策に関する計画の策定と実態調査の実施について
(2)子育て世代包括支援センターの設置について
(3)就学援助入学準備金の前倒しについて
(4)子育て支援について


2番、子供の貧困対策と子育て支援について。今、日本では約6人の1人の子供が貧困状態とされており、過去最悪を記録しました。しかし、その責任は子供たちにはありません。貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、また子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、より一層の支援策が求められています。そこで、以下お伺いいたします。
(1)子供の貧困対策に関する計画の策定と実態調査の実施について。
平成26年8月閣議決定された子供の貧困対策に関する大綱についてでは、子供の貧困の実態は見えにくく捉えづらい、子供の貧困対策に取り組むに当たっては、子供の貧困の実態を適切に把握した上で、その実態を踏まえて施策を推進していく必要があるとしています。既に横浜市では、計画策定に向けた取り組みが始まっています。本市においても、各局や区で行われている取り組みを子供の成長段階や国の重点施策に沿って体系化し、子供の貧困に関する実態や課題について共通認識のもと関係部署が連携し、実効性の高い施策や切り目のない支援を展開する必要があると感じます。計画策定義務が市町村にはないからといって都道府県だけに任せるのではなく、本市においても早急に策定すべきと考えますが、見解をお聞かせください。あわせて、計画を策定するには貧困の実態を正しく認識しなければなりません。東京都足立区では、貧困の実態を明らかにするため区立小学校1年生の家庭を対象に、保護者の収入や子供の生活習慣など、調査に乗り出しました。また、11月21日の新聞報道によると、政府は子供の貧困対策をめぐり全国的な調査を市区町村を対象に実施する方針を固め、調査費用として補正予算を組むとしています。さらに、調査を受けて行う事業に対してはモデル化し、助成するとしています。本市においてもこのタイミング逃すことなく、子供の貧困の実態を適切に把握するための調査に乗り出すべきと考えますが、重ねて見解をお聞かせください。
(2)子育て世代包括支援センターの設置について。2014年度の全国の児童相談所に寄せられた虐待に関する相談件数は過去最悪となりました。児童虐待の背景には、望まない妊娠や母親の孤立、経済的な困窮など、さまざまな要因が指摘されます。これらを包括的、継続的に支援するため、京都市では母子健康手帳交付時に全ての妊婦を対象に保健師が面接を行い、妊婦の不安や産後の育児環境に関する相談を受けるとともに、本人の意思を十分確認した上で、そのニーズやリスクに応じた支援計画を作成し、ワンストップでフォローアップしています。子供の貧困を考える上で、児童虐待防止法による対策に加え、妊娠や出産、子育てへの切れ目ない支援による取り組みは車の両輪です。安心して子育てができる社会づくりのため、日本版ネウボラとも言える子育て世代包括支援センターを各区に設置し、ワンストップでサポートしていくべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(3)就学援助入学準備金の前倒しについてお伺いいたします。子供の貧困対策を進めるに当たっては、世帯の生活を下支えする経済的支援は重要課題と考えます。本年、福岡市教育委員会では、小中学校に入学する子供を対象に支給する入学援助の入学準備金について、入学前の3月に前倒しで支給することを始めました。入学準備金は、学用品や通学用品の購入費用として、小学校分で1人当たり2万470円、中学校分で2万3,550円が支給されるものです。通常7月以降の支給ですが、3月支給と変更されれば何かと物入りな時期なだけに、その意義は大きいと考えます。子供の貧困対策の一環として保護者に寄り添う施策を推進すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(4)子育て支援について
市長、突然ですが企業子宝率という言葉をご存知でしょうか。企業子宝率とは、男女問わず企業の従業員が、同じ企業の在職期間中に何人の子宝に恵まれるかを推計するもので、東レ経営研究所ダイバーシティー&ワークライフバランス研究所部長の渥美由喜氏が考案したものです。この企業子宝率を全国の自治体で初めて導入したのが福井県です。福井県は、共働き率が全国の都道府県で第1位となっている中、女性が家庭の外に出て働いている時間が長いにもかかわらず、合計特殊出生率は全国で上位をキープしています。その取り組みを探るべく、福井県庁に行ってお話を伺ってまいりました。
こちらの資料をごらんください。福井県からいただいた資料をもとに、1人当たりの有給休暇の取得日数と企業子宝率の相関関係をグラフにしたものです。縦軸は企業における1人当たりの有給休暇の取得数で、横軸は企業1人当たりの企業子宝率となっています。例えば有休取得日数3.7日の企業では子宝率は1.0未満となっており、有休取得日数8.6日の企業では子宝率も2.0以上となっていることがおわかりいただけると思います。
この調査結果を作成しながら強く感じたことは、福井県では誰かに子供が生まれたら、その人が早く帰宅できるように業務改善をしたり、みんなで助け合ったりしている社風を育んでいるということです。この少子化時代にあって今後強く求められてくるのは、夫婦2人だけで子供を育てるのではなく、企業も含めた社会全体で子供を育てるという考え方を広く浸透させていくことだと思います。
現在、本市においてはリーディングエッジ企業認証支援事業としてすぐれた企業を支援していますが、あわせて子育てに理解のある企業を支援していく制度が必要と考えます。本市の見解をお聞かせください。
○桶本大輔議長市長〔市長登壇〕
○清水勇人市長神坂達成議員の御質問の2子供の貧困対策と子育て支援子育て世代包括支援センターの設置についてお答えいたします。国は、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目のない支援体制を構築することを目的として、保健師等が専門的な見地から母子保健や育児に関する相談支援等を実施する子育て世代包括支援センターを全国に展開するとしております。本市といたしましても、妊娠、出産、子育てに関する情報提供や、相談支援を包括的に実施するワンストップ拠点を整備することは重要であると認識しております。中でも、妊娠期から出産前後の時期に不安や負担が大きいと訴える母親が増加しておりまして、早急に支援体制を強化する必要があることから、妊娠・出産包括支援事業の展開を考えております。
本事業は、妊産婦等のさまざまな悩みや不安を助産師等の専門職がワンストップで受けとめて、そして子育て支援サービス担当部門との連携によって適切な支援策をコーディネートして包括的、また継続的に支えることとしております。これによりまして、子育てに対する不安が小さなうちに軽減することができ、保護者の安心感、あるいは自信を醸成し、ひいては虐待の予防にも資するものと考えており、国が目指しております子育て世代包括支援センターの役割を果たすものと認識いたしております。
○桶本大輔議長子ども未来局長〔子ども未来局長登壇〕
○髙橋篤子ども未来局長 神坂達成議員の御質問の2子供の貧困対策と子子供の貧困対策に関する計画の策定と実態調査の実施についてお答えいたします。子供の貧困対策につきましては、議員が先ほどおっしゃられましたように平成26年1月に子供の貧困対策の推進に関する法律が施行し、同年8月に子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定されました。国においては、子供の貧困対策に関する大綱を受け、子供の未来応援国民運動を平成27年10月1日に始動させ、さまざまな支援策や補助事業を創設、展開している状況であり、近々全国的に子供の貧困実態調査を実施する方針と伺っております。
また、平成27年11月9日に開催されました九都県市首脳会議におきましても、子供の貧困対策についての提案がなされ、さまざまな施策、制度のシームレスな取り組みについての検討をしていくことが合意されております。このような中、本市においてはさいたま子ども・青少年のびのび希望(ゆめ)プランに沿いまして、さまざまな子育て支援施策を展開しているところでありまして、この先国が展開する子供の貧困対策に関する支援策や補助事業、また九都県市での検討状況、さらに他都市の動向などに注視しながら、状況に応じて当該計画の見直しを含め検討してまいります。
また、実態調査につきましても現在詳細な情報が国から届いておりませんが、詳細がわかり次第、関係部署等と情報を共有、調整しながら検討してまいります。
子育て支援についてお答えいたします。議員御指摘のとおり企業とともに子供を産み育てる環境づくりは、大変重要かつ推進すべき課題であると認識しております。これまでも市民、企業等に対し、仕事と生活の調和に関する情報等の提供、啓発や講座の開催、企業が整備する事業所保育施設のうち、本市が認可いたしました事業所内保育施設に対して運営費の補助を行うなど、子育て支援環境の推進に努めております。また、企業においても、ただいま申し上げました事業所内に保育施設を整備するなど、従業員の方に対する子育てへの理解や環境整備も少しずつではありますが、確実に進んでいるものと感じております。今後も企業のみならず地域や社会全体で情報を共有し、協力しながら子育てしやすい環境づくりを目指し、子育て支援を進めてまいります。以上でございます。
○桶本大輔議長 副教育長〔副教育長登壇〕
○村瀬修一副教育長 神坂達成議員の御質問の2子供の貧困対策と子育て就学援助入学準備金の前倒しについてお答えいたします。議員お尋ねの就学援助入学準備金でございますが、本市の就学援助制度におきましては、新入学用品費として4月に本市に住所があり、就学援助に認定された新入学生の保護者に対し、かかった費用の一部を援助するために支給しております。この就学援助の認定に当たりましては、できるだけ直近の所得状況に即した援助を行うために、前年の所得をもとに審査を現在行っております。仮に福岡市のように新入学用品費を3月に支給することになりますと、現在よりも早い時期に受け付けを行う必要がありまして、そのためには申請者の方の前々年、前年のさらにもう一つ前の年の所得をもとに審査を行うことになります。制度の趣旨からいたしますと直近、すなわち前年の所得により審査を行うべきであると考えております。
福岡市の事例につきましては、今年度始まった新たな取り組みであり、今後も情報収集に努めてまいります。しかしながら、議員御指摘のとおり保護者に寄り添った施策の推進は大変重要なことと考えておりますので、現行の制度の枠組みの中で新入学用品費の支給時期、これを早めることができるかどうか研究を進めていきたいと考えてございます。
○桶本大輔議長 神坂達成議員〔神坂達成議員登壇〕
○神坂達成議員 子供の貧困の実態は、皆様が考えているより大変にせっぱ詰まった状況だと私は感じています。他都市の状況を見て進めることも大事かと思いますけれども、それ以上に自分の市の貧困を、生活に困っている子供たちをどう守っていくのか、これをもう一度、ぜひとも御検討していただきたいと考えます。