(1)AED24時間への取り組みについて
(2)AED5分以内への取り組みについて
(3)AED整備支援について
(4)バイスタンダーへの心のケアについて
(5)バイスタンダーへのリスクマネジメントについて


○神坂達成議員公明党さいたま市議団の神坂達成でございます。通告に従いまして、順次御質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず1番、AEDの戦略的配置とバイスタンダーへのフォローアップについてお伺いいたします。
市民が救命の場でAEDを使用できるようになり、11年が経過しました。以来、AEDは全国で約63万台が販売され、公共施設や公民館、企業等にも設置されるようになりました。しかし、多くは建物の中に設置されているため、夜間や休日に使えないことが危惧されています。事実、昨年6月には山形市の高校で2年生の野球部員が夜間練習中に心臓発作を起こしましたが、校舎の出入り口が施錠されており、玄関と体育館の2カ所に設置されていたAEDが使用できなかったという事態が発生しています。厚生労働省は、平成25年9月、AEDの適正配置に関するガイドラインにおいて、設置のポイントとして心肺停止から5分以内にAEDを装着できること、可能な限り24時間誰もが使用できることの重要性を指摘しています。つまり、単に設置台数をふやすだけでなく、効率、効果を考えた配置の重要性を指摘しているのです。そこで、以下お伺いいたします。
(1)AED24時間への取り組みについて。厳しい財政制約が求められる昨今、AEDの効率的な配置と効果的な運用には、民間の協力が必要不可欠であると考えます。愛知県尾張旭市では、平成26年5月1日から市内のコンビニエンスストア全店舗に、24時間誰でも使用できるAEDを設置しました。本市においても民間企業等に御協力を求めながら、市民生活に密着したコンビニや、24時間誰でも利用できる施設を活用した戦略的配置が求められていると考えますが、見解をお聞かせください。
(2)AED5分以内への取り組みについて。神戸市では、平成17年度よりまちかど救急ステーション標章交付制度を運用しています。この制度は、消防局管制室が救急車の要請時に、必要があれば民間事業者も含めた最寄りのAED設置場所を通報者に知らせたり、また通報者が一人しかおらず心肺蘇生をしなければいけないときには、救急現場までAEDを届けてもらう協力体制を構築しています。本市においても、一分一秒を争う緊急事態に備え広く協力者を募り、救急現場に活用できるよう体制の構築を図るべきだと考えますが、見解をお聞かせください。
また、神戸市では御登録をいただいた方々の情報をオープンデータとして公開しており、アプリ等への活用が促進されるようにしています。本市においても同様の施策が有効であると考えますが、重ねて見解をお聞かせください。
(3)AED整備支援について。AEDの普及拡大に伴い、中には日常点検や消耗品の交換がされず、使うべきときに使えないという状況が危惧されています。これらの心配を払拭するため、横浜市では救急条例を制定し、保守メンテナンスにも力を入れています。また、相模原市では電極パット交換のための補助事業も行っています。本市においても、万が一に備えた保守メンテナンスへの強化策が求められていると考えますが、見解をお聞かせください。
(4)バイスタンダーへの心のケアについてお伺いいたします。緊急通報から救急隊が現場に到着するまでの間、傷病者に対する応急手当ては善意の救助者、通称バイスタンダーに依存しています。しかし、救急現場でバイスタンダーが心肺蘇生を実施する場合を想像してみてください。救命の資器材もなく、医学的な知識もなく、自分の行った応急処置が正しかったかどうかを判別してくれる体制もない中で、傷病者の命をたった一人で守らなければなりません。心的ストレスを受ける可能性があることは容易に想像ができます。事実、愛知県小牧市消防本部が救助に当たった人18人に聞き取り調査を行ったところ、当時のことが頭から離れなかった、興奮状態になり眠れなくなった、自分の処置は本当に正しかったのだろうかなど、不安の声が多く寄せられたそうです。そんな中、少しでもバイスタンダーの気持ちに寄り添おうと、平成23年1月、岡山市消防局はバイスタンダーへのフォローアップとして連絡カードの配付を始めしました。
資料をごらんください。こちらをごらんください。これは、岡山市消防局の連絡カードを拡大コピーしたものです。表面には、救急隊が到着するまでの間、勇気を持って応急手当てに当たっていただきありがとうございましたとの感謝の気持ちが記されているとともに、救急現場において目撃したこと、応急手当てを行ったことで何か不安なこと等がありましたら裏面の相談窓口に御連絡くださいとなっており、裏面では連絡先が記載されています。このカードの使い方は、救急現場でバイスタンダーに連絡カードをお渡しする。その後、心的ストレスについての相談を岡山市消防局救急課で受け付けし、不安に対する助言を行います。さらに必要ならば、岡山市赤十字病院がフォローアップを行うというものです。本市においてもバイスタンダーに寄り添い、感謝の気持ちを伝えるとともに、心のケアについての方策を検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
(5)バイスタンダーへのリスクマネジメントについてお伺いいたします。救急車の出動が年々増加することに伴い、到着時間が延びる中、心肺停止状態などではバイスタンダーの存在が生死を分けます。しかし、バイスタンダーには常にリスクが伴います。東京消防長の調べでは、バイスタンダーとしての応急手当てに病気感染の心配、負傷の懸念、さらには症状を悪化させて責任を問われるリスクなどの理由で、処置を敬遠する声が上がっていることがわかりました。実際に平成21年以降、負傷したり感染があると判明したケースは7件としています。東京消防庁は、これらに備え、保険により治療費、感染症の検査費、訴訟費用の一部を払うことを決め、本年度予算化しました。本市においても同様の事態が想定される中、バイスタンダーの立場に立ったリスクマネジメントを検討すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
○山本信二保健福祉局長 神坂達成議員の御質問の1AEDの戦略的配置AED24時間への取り組みについてお答えいたします。
本市では、平成18年度に策定いたしましたAED等の整備方針に基づきまして、職員が常駐する市の公共施設へのAEDの整備を進めており、平成27年11月現在で合計687台のAEDを設置しております。このほかに、医療機関や金融機関等の民間事業者が自主的に設置しているAEDも含め、市内では少なくとも合計1,719台設置しております。
御質問のありましたコンビニエンスストア等へのAEDの設置については、まず各事業者による自主的な取り組みとして行われるべきものと考えますが、今後効果的なAEDの設置場所や他の自治体の取り組み状況などを調査し、研究を進めてまいりたいと考えております。
次にAED5分以内への取り組みについてお答えいたします。まず、本市におきましても119番通報された際に、消防局指令センターが通報時の状況に応じて、付近のAEDの設置場所を通報者に案内を行っております。
次に、AEDの設置場所をオープンデータとして公開することに関しましては、市で管理を行うAEDについては、既に市のホームページにおいてオープンデータとして公開しております。また、民間事業者が設置しているAEDについては、一般財団法人日本救急医療財団に登録を行うよう従前より国が呼びかけを行っており、当該財団が把握するAEDの設置場所の情報は、平成27年8月に国より活用を行ってよい旨の通知がございました。現時点では、まだ具体的な情報の詳細は不明でありますが、本市といたしましてはオープンデータを含め、市民の皆様が活用しやすいような対応について検討してまいりたいと思います。
また、議員から御提示のありました神戸市の取り組みにつきましては、詳細を把握しておりませんので、今後調査研究をしてまいります。
AED整備支援についてお答えいたします。本市といたしましては、精密機器であるAEDが救命救急で使用される際に、管理の不備により期待された性能を十分に発揮できないなどの重大な事態の発生を防止するために、適切な保守点検が重要であると考えております。このため、市が管理するAEDについては日常的な点検管理を行っております。民間事業者が設置するAEDの点検管理は、設置者が行うことが基本と考えておりますが、整備支援については他の自治体における支援状況等について調査し、研究をしてまいります。
○桶本大輔議長消防局長〔消防局長登壇〕
○辻和明消防局長バイスタンダーへの心のケバイスタンダーへのリスクマネジメントは関連がございますので、一括してお答えいたします。
バイスタンダーへの心のケアについてですが、消防局では心肺蘇生法を中心とした応急手当て講習を一人でも多くの方に受講していただくため、応急手当て普及啓発に取り組んでいるところでございます。平成26年中は1,143回の講習会を実施し、延べ3万2,415名の方が受講されております。
現在、バイスタンダーに対する感謝の気持ちをお伝えする方法といたしましては、救急隊から口頭で感謝の気持ちをお伝えするとともに、社会復帰につながるなど、特に貢献された方には感謝状をお渡ししているところでございます。今後は、口頭でお伝えするほかに、相談の連絡先などを記載したカードなどをお渡しして、バイスタンダーへのフォローアップを検討しておりますので、早期に実施してまいりたいと考えております。
また、心のケアについては、議員御指摘のとおりフォローアップの必要性がありますので、関係部局や医療機関などとの連携を含めた新たな方策を検討してまいります。
次に、応急手当ての普及啓発を推進する一方で、バイスタンダーが安心して応急手当てを行っていただくためのリスクマネジメントとして、現在消防業務責任賠償保険に加入しておりますが、その適用には救急隊員からの協力要請により行った応急手当てであることなど一定の条件があるため、災害補償が適用されない場合があります。こうした中、平成28年度中には既存の消防業務責任賠償保険にバイスタンダー補償が追加されるものと伺っておりますので、その際には速やかに加入し、バイスタンダーの立場に立ったリスクマネジメントに取り組んでまいります。
いずれにしましても、誰もが安心して救護の手を差し伸べることができるようバイスタンダーへのフォローアップに努め、応急手当ての実施率向上を目指してまいります。
○桶本大輔議長 神坂達成議員〔神坂達成議員登壇〕
○神坂達成議員 前向きな御答弁をいただきました点につきましては、ぜひとも進めていただきたいと思います。次に移ります。