○神坂達成議員 3番目に移ります。子供の命を守る防災対策についてお伺いいたします。
東日本大震災以降、本市においても加速度的に学校等の耐震化が進められてきました。しかし、熊本地震では耐震化が完了していた小学校の普通教室において、構造部材の破損や非構造部材の落下という事実が多数発生しました。耐震化によって建物の倒壊は回避されましたが、老朽化による安全対策の必要性が浮き彫りとなりました。この状況は、さいたま市においても同様ではないでしょうか。そこで、今回は構造部材や非構造部材の落下から、子供たちの命をどのように守っていくのか、お伺いさせていただきます。
現在、さいたま市の児童たちにとって最も身近な防災グッズと言えば、防災頭巾です。学校においても、入学準備品として防災頭巾の購入を推奨し、保護者が自己負担で購入しています。そもそもこの防災頭巾は、太平洋戦争末期に用いられた防空頭巾を原形としたもので、火の粉や軽微な爆風から頭部を保護するために用いられてきたという歴史があります。しかし、防災頭巾はヘルメットに比べ落下物への有効性、強度が不足しているという致命的な欠陥があります。文部科学省が開催した地震・防災研究を踏まえた退避行動に関する作業部会では、委員より、防災頭巾は地震には頭を保護するものではないことが科学的に明らかにされています。それでも日本では、今もなお昔からの習慣によって、子供たちに防災頭巾を与え続けているのです。このような環境を変えていかなければ、助かる命も守れませんと喝破されています。
私は、この課題を調査するため、先進的に取り組まれている横浜市へ視察に行ってまいりました。横浜市では、平成26年度から市立小学校、特別支援学校の1年生を対象に折り畳み式ヘルメットを貸与し、6年間で全児童へ配備を目指す取り組みを開始しております。また、平成29年度からは折り畳み式ヘルメットから防災ヘルメットに変更がなされました。
こちらをごらんください。

これが実際に横浜市で貸与されているヘルメットと、下の段が椅子の下に収納した写真です。折り畳みヘルメットから変更された理由としては、これまでに課題とされてきたヘルメットの収納場所について、新たに収納ケースを開発し、椅子の下に防災ヘルメットを装備することにより、子供たちが発災と同時に装着できるよう取り組んだ創意工夫の結果と言えます。気になるヘルメット1個当たりの落札単価は1,836円、開発した収納ケースが500円とのことで、本市で新1年生に配付した場合を試算すると、約2,640万円ということになります。昨年、さいたま市は国から広域防災拠点都市として位置づけられました。そのさいたま市が、先頭に立って児童の防災対策を推し進めるべきではないでしょうか。そこで、お伺いいたします。本市の防災頭巾に対する安全性への御認識と、児童への防災ヘルメット導入に対する見解についてお示しください。
○細田眞由美副教育長 神坂達成議員の御質問の3 子供の命を守る防災対策について、・ 大規模災害の発生に備え、子供の防災力向上のため、防災頭巾から防災ヘルメットに政策転換すべきではないかについてお答えいたします。
教育委員会では、子供の命を守る防災対策といたしまして、自分の身を守る自助、みんなと協力して助け合う共助の態度を子供たちに育成することが大切であると考えております。学校では、災害時の落下物から子供たちが自分で自分の身を守れるよう、物が落ちてこない、倒れてこない、移動してこない場所に素早く身を寄せる訓練等を行っているところでございます。
御質問の防災頭巾に対する安全性への認識についてでございますが、防災頭巾は地震や火災の災害時に、頭から肩にかけて軽量の落下物からの衝撃を吸収する効果があり、また頭髪や頭皮等を炎から守る防炎効果もございます。しかしながら、重量のある落下物などの過度な衝撃に対して、防災頭巾では対応し切れない場合があることは、課題であると捉えております。
次に、児童への防災ヘルメット導入に対する見解についてでございますが、災害時に落下物から子供たちの頭部を守る対策として、防災ヘルメットは有効な用具であると認識しております。現在、既に防災ヘルメットを導入している自治体からの聞き取り調査を進めるとともに、実際に防災ヘルメットを取り寄せて、児童が使用する際の問題点等について研究を行っているところでございます。こうした調査研究の過程におきまして、児童の実態に合った防災ヘルメットの形状や教室内での保管方法など、検討を要する点も見受けられております。このことから、今後経費負担のあり方も含め学校現場の意見も聞きながら、引き続き研究してまいりたいと考えております。
○神坂達成議員 政策転換に向けて、大きな一歩を踏み出していただいたと感じさせていただきました。いつ起こるかわからない災害に向けて、子供の命を守る防災ヘルメットが一刻も早く配備されますことを念願申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。