行政視察のご報告をさせていただきます。
調査日程は平成27年7月14日から16日までで、調査場所は高知県議会、愛媛県四国中央市議会、岡山市議会です。
調査目的は以下の通りとなっています。
1、龍馬パスポートについて
(1)事業実施の経緯
(2)運営経費・利用者数・参加施設数等の実績
(3)事業周知の方策
(4)利用者・参加施設等からの要望
(5)効果・課題等
2、デマンドタクシーについて
(1)事業実施の経緯
(2)委託、補助、直営等の運営形態
(3)運営経費・利用料収入・利用者数等の実績
(4)安全確保対策
(5)バス・タクシー業界との調整手法
(6)利用者」・事業者等からの要望
(7)効果・課題等
3、介護機器貸与モデル事業について
(1)実施の経緯
(2)運営経費・利用料収入・利用者数等の実績
(3)介護機器指定の手法
(4)利用者・事業者等からの要望
(5)効果・課題
(6)今後の方向性等

7月14日高知県議会
高知県では「龍馬パスポート」事業を開始しています。本事業は、高知県への「リピーター促進」と「地域への周遊」を政策的な狙いとして実施している事業です。また、スタンプの押印を受けるために有料施設への入館や物産の購入を条件としているのは、ワンコインでも地域へ還流を図り各地域での消費誘発を促すことも目的に位置づけられているためです。

2012年4月から2年間の予定でスタートした龍馬パスポート事業ですが、利用者の反響にこたえ、2014年4月から2年間の予定で「龍馬パスポートⅡ」としてリニューアルスタートしています。
本事業の特色としては、全国初のステージアップシステムの導入があります。必要数のスタンプを集めることで、青から赤、赤からブロンズ、といったかたちでパスポートがステージアップ(進化)していきます。このゲーム性の高さが龍馬パスポートの人気の一つでした。ステージアップすると、施設特典がグレードアップする施設もあります。
ステージアップするごとに、抽選で賞品が当たったり、もれなくもらえるプレゼントが設定されていました。
宿泊施設が少なく都心からの通過点として利用されることが多いさいたま市においても、観光客並びにリピーターの増加は、観光立国を目指す我が国の政策と連動した新たなる取り組みの必要性です。龍馬パスポートのステージアップシステムなどを参考にしながら本市の観光政策について引き続き調査研究してまいります。

7月15日愛媛県四国中央市
本地域では、合併論議が起こった頃から、各地域ではコミュニティバスなど「路線バスとは違った形態の移動手段の整備」を望む声が強まり、合併協議においても新たに独立した委員会を設置して調査・協議を行った。このような経緯でも明らかなように、地域における新たな交通手段の整備確保は、平成16年4月の合併以前からの長年の懸案となっていました。合併後、庁内プロジェクトチームを設置して改めて調査や協議を行った結果、当市の幹線道路の状況や地形的な事情等からコミュニティバス導入にこだわらず、予約型の乗合タクシーも含めた検討を行うこととしました。平成20年1月からは、鉄道駅やバス停から遠く離れた公共交通空白地域の2地域(対象人口:約3千人)を対象として、事前登録制で予約型の乗合タクシー(デマンドタクシー)の試験運行を四国で初めて開始した。試験運行を実施したことで、予約受付や車両連絡などのノウハウを蓄積するとともに、システム操作に関しても対象地域を拡大した場合の想定を行うことができたとしています。試験運行を実施したことで、予約受付や車両連絡などのノウハウを蓄積するとともに、システム操作に関しても対象地域を拡大した場合の想定を行うことができたとのことでした。22~24年度の3年間は国の補助事業を活用した実証運行を行い、利用実態やアンケート調査に基づいて運用面での改善や変更を行い、より利用しやすい交通手段を目指すとともに、新宮地域へは24年度からの導入が開始をされました。

さいたま市においても、交通不便地区の解消や高齢者の運転免許返納などによる市民の足の確保は今後重要な政策テーマと考えています。これらの問題を解消するためにも引き続き調査研究を重ねながら予算要望や議会質問を通して、さいたま市版デマンドタクシーの実現に向けて取り組んでまいります。
なお、四国中央市は平成20年からデマンドタクシーの取り組みを始めており、国の補助事業を活用するなど先進的な取り組みがなされてきました。この先進地域において学ばせていただいたことは大変に意義深いものとなりました。

7月16日岡山市議会
岡山型持続可能な社会経済モデル構築総合特区AAAトリプルエー(エイジレス・アクティブ・アドバンスト)シティおかやま。岡山市は、介護が必要になっても高齢者が住みなれた地域で暮らしていくことを目指しており、在宅にフォーカスを当てた特区である。我が国が抱える急激な少子高齢化に伴う様々な課題について、同様の課題を持つ岡山市で将来負担の抑制・産業振興・地域包括ケアの発展を促し、来るべき超高齢社会を乗り越えることができる新しい社会経済モデルを構築することを目標としています。そして、この成功モデルを中四国に拡大していくとともに、日本型高齢化モデルとして欧米諸国や中国をはじめとするアジアの国々に対して提示していく目標が示されています。

最先端介護機器の貸与モデル事業については、在宅介護の自立支援や介護者の負担軽減に繋がる可能性があるにも関わらず、介護保険給付の対象とならないため普及が進んでいないという問題がありました。同時に、マーケットも拡大しないため、革新的な介護機器開発の障害となっていました。こうした現状を踏まえ、在宅で生活する人の利便性や自立支援に資する介護機器について、岡山市においてモデル的に貸与対象とすることで、在宅生活での自立支援、家族の負担軽減を図るとともに介護分野での最先端技術を持つ企業を岡山市に集積し、介護機器マーケットの拡大を図るための取組がなされていました。
今後さいたま市においても、急激な高齢化は避けては通れない重要課題です。2025年問題に象徴されるように、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせるさいたま市を構築するために岡山市での取り組みは意義深く注視すべき内容と感じました。今回の視察では、日進月歩で進む最先端介護機器の導入についての課題等を学ぶことができました。今後議会質問を通しながらこれらの課題について取り上げてまいりたいと思います。