(1)ハートフルパーキング制度の導入について

続きまして、3、未来へつなぐシェアリング・エコノミー、(1)ハートフルパーキング制度の導入について伺います。団塊の世代が75歳以上となる2025年以降には、大介護時代の到来が予見されております。こうした中、幾つになっても住み慣れた地域で暮らし続けていくため、地域包括ケアシステムの構築が進められております。そこで、地域包括ケアシステムを円滑に運用していくため、ハートフルパーキング制度の導入を提案したいと思います。 そもそもハートフルパーキング制度とは、駐車場の不足している住宅街、団地、マンションなど地域を中心に、介護事業者らに対し、民間の駐車場を無償で利用してもらう制度です。需要が増加の一途をたどる介護事業者らは、路上駐車をするわけにもいかず、時には重い診療機材を抱えながら、利用者宅を巡回しなければなりません。そこで、日中使用していない駐車場の所有者と一時的な利用を希望する介護事業者らを市が構築したインターネットサイトでマッチングすることにより、利用者宅の近くに駐車できるようにするシェアリング・エコノミーです。この制度を全国で初めて導入したのは愛知県春日井市です。過日、春日井市に視察に行ってまいりました。担当者の話では、運用開始から5年が経過した令和3年3月末日現在、駐車場の提供台数は397件、使い側の登録数は114団体となっており、提供者並びに登録団体も順調に増加しているとのことでした。気になる費用面では、イニシャルコストとしてシステム開発費に263万円、ランニングコストとして管理費が月5万円の年間60万円となっていました。セキュリティー面ではシステムは非公開とされており、不正利用を防止するため各種の施策が施されていました。 私は、お話を伺いながら、これから高齢化が一気に加速するさいたま市において、必ず必要となってくる制度だと直感いたしました。さいたま市はマンション化率も高く、既に高齢化が進んでいる団地をはじめ狭隘道路も少なくありません。一方、住宅街に目を向ければ、免許返納等により使われていない駐車スペースや空き地、商業施設の駐車場等があります。何よりも空いているスペースを提供することで、少しでも社会貢献ができるのであれば利用してもらいたいと考える市民は少なくないはずです。市民同士が支え合う持続可能な都市を展望するとき、シェアリング・エコノミーという視点に立脚した制度構築は、必ずや市民福祉の向上に資すると考えます。さいたま市の見解をお聞かせください。

○髙橋篤副市長 神坂達成議員御質問の3、未来へつなぐシェアリング・エコノミー、(1)ハートフルパーキング制度の導入についてお答えさせていただきます。 いわゆる団塊の世代が全て後期高齢者となる令和7年には、市民のほぼ4人に1人が高齢者となることが見込まれております。そして、団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年には、本市の高齢者人口は40万人を超え、市民のほぼ3人に1人が高齢者という新たな状況を迎えることになります。さらに、介護ニーズが高い85歳以上の本市の高齢者人口は約10万人にまで増加し、令和2年に比べて倍増することが見込まれております。議員御質問のハートフルパーキング制度につきましては、介護事業者が地域において駐車場の確保に苦慮することなく高齢者に介護サービスを提供できる一つの方法であり、高齢者が住み慣れた地域で生き生きと暮らし続けられる社会の実現を目指す地域包括ケアシステムをシンカ、推進していくに当たり、有用なものであると認識しております。 駐車場提供者と利用希望者のマッチングについて、愛知県春日井市のほかに実施している例といたしましては、大阪府住宅供給公社において、契約されていない団地の駐車場に15分単位でネットで予約して駐車できるサービスを実施しております。御案内の介護事業者や入居者等が事前に団地の駐車場を予約することができ、訪問介護等を利用する際の駐車スペースの確保に対する不安を解消しているものであると聞いております。

また、東京都町田市におきましては、医療、介護に携わる有志による駐車場シェアシステム委員会によりまして、駐車場提供者、利用希望者が登録し、駐車場を予約するサイトの運営が行われているものと聞いております。 居宅を訪問する際の駐車場が不足する問題は都市部での共通の課題と思われますが、医療や介護に限らず、幅広い業種に可能性があると想定されますことから、他市における先行事例や駐車場の需給バランスなど様々な視点から、本市に適した方法を調査研究してまいりたいと考えております。