4、公共交通の利用促進及び高齢者の健康長寿と社会参加について
(1)高齢者の移動・外出支援について
(2)高齢者へのバス運賃助成制度の創設について
(3)高齢者の移動・外出支援における組織体制について

それでは、次に移ります。4番、公共交通の利用促進及び高齢者の健康長寿と社会参加について、(1)として、高齢者の移動、外出支援について伺います。近年、さいたま市は、都内や県外からの転入者が増加しています。転入者の方からは、以前住んでいたまちでは、70歳を超えるとバス等に無料または100円で乗れていたが、さいたま市にはないのですかとの声が寄せられます。そこで、他都市における高齢者への交通費助成制度の実施について調査をしてみました。最も有名なのは東京都が実施するシルバーパスです。年齢70歳以上の非課税世帯の場合、負担金1,000円を支払えば、無料で地下鉄や路線バスに乗車することができます。
次に、政令指定都市における高齢者への交通費助成制度の実施状況を調べてみました。こちらを御覧いただきたいと思います。まず、実施している政令指定都市は、20政令指定都市中、実に15政令指定都市に上っています。内訳で見ると、市営バス、第三セクターを対象に実施しているのは名古屋市、大阪市、北九州市の3市。市営バスと民間バスを対象としているのは、仙台市、川崎市、横浜市、京都市、神戸市の5市。市バスを持たないながらも民間バスを対象としているのは、札幌市、新潟市、堺市、岡山市、広島市、福岡市、熊本市の7市となっています。実施方法については、呼び方も助成制度も多様で、各自治体が知恵を絞りながら、高齢者の移動支援、外出支援として実施しています。
そこで、まず1点目として、既に15政令指定都市で実施されている高齢者の移動、外出支援について、なぜさいたま市はこれまで議論がされてこなかったのか。素朴な疑問としてお伺いいたします。

髙橋篤副市長 神坂達成議員の御質問の4、公共交通の利用促進及び高齢者の健康長寿と社会参加について、(1)高齢者の移動、外出支援についてお答えさせていただきます。 高齢化が急速に進展する中、高齢者の移動や外出に係る支援につきましては重要な課題だと認識しております。本市では、平成28年度から令和元年度にかけまして、庁内関係部署による公共交通と福祉移動支援に関する勉強会を開催いたしまして、移動支援策について検討を進めてまいりました。具体的な施策検討のため、平成29年度に高齢者の移動支援調査検討業務を委託により実施し、路線バス等の運賃補助を含めた他市の先進事例や交通需要の地域差を踏まえた支援の在り方について整理を行いまして、提出された報告書を基に、今後ますます高齢者人口が増加する中で持続可能な移動支援制度を策定することといたしました。 これらの検討の結果を踏まえ、令和元年度からバス停までの距離があるなどの、いわゆる交通空白地域等を対象に高齢者福祉施設の運営法人等の御協力をいただき、高齢者等の移動支援事業をモデル実施いたしました。令和3年度からは、対象を全ての市域に拡大し事業を実施しておりますが、現在のところ、2地区で実施がなされているところでございます。

神坂達成議員 私が言っているのは、そういうあまり細かい話ではないんです。市域全体で、もっと公共交通を活用したまちづくりをするべきだと言っているわけです。先ほど、これ見てもらいましたけれども、このうち実施していない5市ありました。そのうち、千葉市と相模原市と静岡市は、制度を廃止しようということで廃止しております。さいたま市と、あと残るは相模原市2市だけなんです。相模原市はよその市なので、私、どうなっているか分かりませんけれども、実質、現状でいうと、さいたま市だけ何もしていないということが導き出されてしまうわけです。ぜひともこれから高齢化社会に向けて、そういったことを課題としていく。よく市長は、運命の10年だとおっしゃっております。また、シンカをさせていくんだ。まさに今やるべきことがこういったことではないかなと私は感じております。

それでは、続いて2番に移ります。(2)高齢者へのバス運賃助成制度の創設について伺います。私は、さいたま市と同様に地下鉄も市営バスを持たないながらも、お出かけ応援制度を実施している堺市へ視察に行ってきました。堺市では、65歳以上の市民がICカードを使い、現金100円を支払うことで、民間バスや阪堺電車、乗合タクシーに乗車できる制度を構築しています。担当者からは、シンクタンクによる導入の効果検証について説明をいただきました。 ポイントは3点ありました。1点目は、制度導入によりバス利用者が以前よりも約52%増加したことに加え、通勤通学のピークから外れた時間帯を利用していることから、効率的なバス運行や路線維持に寄与していること。2点目は、外出機会や外出範囲が拡大し、高齢者の体力、健康、生きがいや気力が増進していること。3点目は、利用者の外出増加により経費の8.8倍となる約56億円の経済波及効果が確認されており、市内経済への好循環に寄与していることです。堺市では、これらの効果が検証されたことにより、今後も制度を維持していくとしております。高齢者が家に閉じ籠もらず外出する機会を増大させる効果は、認知症、鬱病の予防、また孤独感の緩和、体力の向上、健康維持や明日への活力などにつながり、結果的に医療費の削減にも寄与します。さいたま市においても、先行する15政令指定都市を参考に、高齢者に対するバス運賃助成制度を導入し、公共交通の利用促進及び高齢者の健康長寿と社会参画に取り組むべきです。本市の見解をお聞かせください。

小川博之副市長 神坂達成議員の御質問の4、公共交通の利用促進及び高齢者の健康長寿と社会参加についての(2)高齢者へのバス運賃助成制度の創設についてお答えいたします。
本市では、65歳以上の市民を対象としました長寿応援ポイント事業や、75歳以上の市民などを対象としましたアクティブチケット交付事業、それから先ほど髙橋副市長からの答弁にもありましたけれども、移動が困難な高齢者を対象としました高齢者等の移動支援事業を実施しまして、高齢者の生きがいや健康づくり、外出支援につながる取組を進めているところでございます。また、一部の路線バス事業者におきまして、通常よりも低額となる高齢者専用定期券を販売し、公共交通の利用促進を図っているところでございます。
さらに、高齢者を含めた全てのバス利用者の利便性向上のために、路線バス事業者と定期的に検討会を開催しており、双方が抱える課題の共有を図り、今後の利用促進策としての乗り継ぎ割引や共通定期券制度の導入など、持続可能な地域公共交通の維持確保を目指しているところでございます。議員御指摘のとおり、超高齢社会のさらなる進展を見据えた公共交通の利用促進策や外出機会の創出は重要な課題と認識しておりますので、議員御指摘のあった堺市など他都市の取組の状況もよく調査、分析しながら検討しまして、議員御提案の高齢者へのバス運賃助成制度の検討も含めまして、広く市民が移動しやすい交通環境の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

神坂達成議員 前向きに検討していただけるということで、ぜひともよろしくお願いします。 今1点、気になったんですけれども、何でこれ小川副市長が答弁されているんでしょうか。私は高齢者福祉ですよというお話をしています。先ほどこれ見せました。15政令指定都市やっていますよと。これ、私、調べましたけれども、15政令指定都市全てが保健福祉部局でやっているんです。担当所管と違う人が答弁するというのはいかがなものなのかな。どうしてそういういきさつになったのか。質問と少し違うかもしれませんけれども。ここに私はさいたま市の課題があるんではないかな。全ての先進市が保健福祉部局でやっているのに、さいたま市だけ、なぜか交通でやる。ここに大きな問題があると思いますけれども、これ教えてください。答弁できますか。

小川博之副市長 神坂議員の再質問にお答えいたします。
この高齢者の移動手段の確保ということにつきましては、特に縦割りという形で検討するのではなくて、先ほど議員の御指摘にもありましたけれども、やはり交通全体で考える必要がある場合もございます。また、最近ですと、首都圏におきましてもAIデマンド交通の社会実験をやったりですとか、実は最近いろいろな取組をやっているところでございます。ですので、やはりここは保健福祉局、都市局でよく緊密に連携を取りながら検討していくことが必要であるということでございまして、特に縦割りで、これは福祉、これは都市ということではなくて、今回の答弁につきましても両局で連携して答弁を作成しているところでございますので、よろしくお願いいたします。

神坂達成議員 おっしゃっていることはよく分かります。それは、ほかの政令指定都市においてもやはり同じだと思うんです。そこを管轄しているのが保健福祉が頑張ってやっているということだろうと思います。このままでいくと、やはりそれは交通局ですよ、保健福祉局ですよ、押しつけ合いになってしまうんではないかなと思います。今、人口減少社会が本格的にこれから始まって、運転手も不足している。それから、運転免許の返納者も増えている。また、地域の移動手段というのが、これから確保していくことが大変に困難になってくる。コロナもあって、リモートワークが増えて、バス利用者も減っている。こういった機感もありますので、ぜひとも、もう一度さいたま市としてよく検討していただきたいと思います。 また、今、小川副市長からお話があった内容について、3番目、伺いたいと思います。

それでは、(3)として公共交通利用促進における組織体制について伺います。これまで地域公共交通は都市局、高齢者の生きがいづくりや健康づくりは保健福祉局、バス利用促進におけるゼロカーボン政策は環境局、市内経済の好循環は経済局となっています。しかしながら、さいたま市が本気で交通政策を通して持続可能な都市を目指すのであれば、未来都市推進部のように市長直轄の組織として体制強化を図るべきではないか、私は考えますけれども、市の見解をお伺いしたいと思います。

小川博之副市長 神坂達成議員の御質問の4、公共交通の利用促進及び高齢者の健康長寿と社会参加についての(3)高齢者の移動、外出支援における組織体制についてお答えいたします。 本市では、超高齢社会の到来や地球規模の環境負荷軽減へのさらなる要請、観光需要の充足などの社会情勢、暮らしの変化に対応し便利で利用しやすい都市構造に合った公共交通ネットワークの構築により持続可能な都市を目指しているところでございます。 議員御指摘のとおり、この目的を達成するための施策に携わる部局は多岐にわたっております。先ほど議員御指摘がありましたけれども、都市局におきましても、いろいろと今、バス事業者とやり取りさせていただいていますし、交通AIデマンドタクシーの実証実験をやったりしております。また、環境局でも今、脱炭素の取組ということで、いろいろな検討をしているところでございますし、保健福祉におきましても、先ほど御答弁させていただいたとおり、いろいろなメニューを用意しているところでございます。高齢者についても、今、いろいろな高齢者の方がいらっしゃると思います。元気な高齢者の方もいれば、免許を返納された高齢者、それから移動支援が必要な高齢者、様々な高齢者がいらっしゃると思いますので、そういったいろいろな高齢者の状況に応じて、現在持っております市の支援制度、こういったものがどこまで対応できているのかというようなことをしっかりと検討して、さらなる施策が必要なのかどうかということについて検討していくことが必要なんではないかなと思っております。そういうことから、現在行っております勉強会の体制を拡大いたしまして、部局横断した検討会議を早急に設置することにより、課題の共有や施策などの検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。また、必要に応じて推進体制についても検討してまいりたいと考えております。

神坂達成議員 御丁寧な御答弁いただきまして、誠にありがとうございました。ぜひとも推進のほうお願いしたいと思います。