5月22日、清水勇人さいたま市長に「マンション防災対策に関する申し入れ書」を提出しました。

現在、さいたま市における分譲マンション化率(分譲マンションのストック数)を民間データーで見ると、2011年のさいたま市内におけるマンション化率は18.7%にまで高まっています。
全国のマンション化率は11.70%ですので全国平均を大きく上回っています。
都道府県別では、
1位が東京都で24.92%。
2位が神奈川県で21.70%。
3位が兵庫県で17.85%
4位が大阪府で17.76%
となっていて、賃貸を含めるとさらに多くの市民の住居形態となっています。

その中で今回「マンション防災対策に関する申し入れ書」を提出した背景としては、増え続けるマンションにおける防災対策の機能向上などがあります。
具体的には、高層マンションでのエレベーターの停止による高層階の孤立化の問題や、躯体には被害がなくとも上下水道等の付属設備が被害を受けるなど、非構造部材の耐震化や防災用資器材の配備などが喫緊の課題といえます。

また別の視点から見れば、建物が堅牢マンションは、大規模災害の発災時には学校等の避難所だけでは収容しきれない市民を、集会場・公園・大型駐車場等を使い受け入れる緊急避難場所としての可能性を持っていると考えたからです。

申し入れ書に関しては、以下、全文掲載させていただきます。


さいたま市長 清水 勇人 様

マンション防災対策に関する申し入れ書

マンションは都市部における主要な住宅形態として定着し、民間調査会社調べによると、2011年のさいたま市の総世帯数に対する分譲マンションのストック戸数、いわゆるマンション化率は18.7%となっています。また昭和56年以前の旧耐震基準で建築されたマンションは市内で512棟とされています。

東日本大震災では、東北・関東で約8,700棟のマンションが被害を受け、自治体発行の罹災証明では、全壊が200棟、半壊が1,000棟と推計されています。特に仙台市では、居住可能な状態で成り立つ区分所有関係が崩れ、建物を解体した事例が数棟起こっている他、躯体に被害はないものの上下水道等の付属設備が被害を受け、居住できないことからマンション住民の多くが避難所に避難をしています。
近年、市内に増加している高層マンションでは、エレベーターの停止によって高層階が孤立することから、独自の防災備蓄やマニュアルの作成が求められます。
賃貸も含めると多くの市民の住居形態となっているマンションについて、躯体だけではなく非構造部材の耐震化、防災資機材を備えて防災機能を向上させる取り組みは喫緊の課題といえます。

また東日本大震災以降、マンションが高層耐震建築物であることから、その防災拠点としての機能を再評価し、沿岸部では津波避難所として、また木造密集地域では地域避難所として防災協定を結ぶ自治体が増えつつあります。
 首都直下型地震等の大規模災害では、学校等の市指定避難所だけで市民を収容できません。建物が堅牢なマンションは、集会室、公園、大型駐車場、受水槽等の設備を独自に持ち、地域の避難場所、飲料水供給所、また防災物資の分散備蓄場所としての活用が可能です。また内陸都市である本市では、200年確率の河川洪水に対する避難所としてマンションを位置づけることも重要です。
 
これらマンションの持つ防災機能を強化し、さいたま市全体の防災力を高めるために、マンション防災対策に関する下記事項について早急な取組みを求め申し入れします。


一.躯体、付属設備も含めたマンションの耐震化を促進し、防災力を向上させるために、マンション防災ガイドブックの作成や管理組合向けの耐震化・防災セミナーを開催すること。

二.マンションの自主防災力を向上させるために、市の自主防災組織に一定規模以上のマンション管理組合を対象に加え、防災マニュアルの策定や自主防災資機材の充実で地域防災力を高める取り組みを進めること。

三.震災時、洪水時の地域の避難所としてマンション共用部分の活用が図れるような環境整備に取り組むこと。

四.市独自の(仮称)防災力認定マンション制度を創設し、災害に強いマンションづくりを誘導すること。