会議:平成28年6月定例会 / 開催日:2016-06-01 / 役職:議員(本会議) / 出典:さいたま市議会 会議録検索システム

避難所等のワイファイ整備と防災ワイファイステーション

◆神坂達成議員 公明党さいたま市議団の神坂でございます。

質問に先立ち、熊本地震により被害に遭われた皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧、復興を御祈念申し上げ、質問に移ります。どうぞよろしくお願いいたします。

私たちは、いつ起きるかわからない災害に備え、自助、共助、公助の連携で災害に立ち向かわなければなりません。平成26年に本市が実施したさいたま市被害想定調査によると、さいたま市で直下型地震が発生した場合、市全域の震度は6弱以上で、死者は2,000人に上ると想定されています。また、洪水によって荒川が氾濫した場合、被災者は約34万人、床上浸水は約6万8,000棟に上ることが想定されており、その被害を最小限に食いとめるためのリスク・コミュニケーションが求められています。

平成23年12月に総務省の大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会が公表した報告書によると、東日本大震災の発災時に固定電話で連絡がとれた人の割合は56%であるのに対し、SNSなどのインターネットで連絡がとれた人の割合は86%となっており、固定電話や携帯電話が通信規制により利用できない場合でも、公衆無線LAN等を通じてインターネットにアクセスすることにより、災害情報を効果的に発信、受信することが可能であることが明らかとなりました。

一方、昨年5月に総務省のテレワークやワイファイ等の活用に関する研究会が公表した報告書によると、ワイファイの普及状況は、庁舎施設で9%、避難所で1%、避難場所では0.1%と、公共施設を中心にワイファイの普及がおくれている状況が明らかになりました。外国人観光客らのニーズが高く、経済効果が見込める施設は民間事業者によるワイファイ整備が望めますが、防災拠点のように、いざというときの備えは自治体主導で進めなければなりません。

そこで、まず1点目として、大規模災害時に重要な役割を果たす本市の庁舎、学校、公民館といった避難所等におけるワイファイの整備状況についてお示しください。

2点目として、被災した多くの市民が不安を抱え、情報を求め集まってきたときに通信手段をどのように確保しようと考えているのか、検討状況をお聞かせください。

次に、防災ワイファイステーション整備事業について伺います。

総務省では、避難所等の防災拠点における公衆無線LAN環境の整備を推進しており、地域公共ネットワーク等強じん化事業補助金交付要綱の中で、観光・防災Wi-Fiステーション整備事業を実施する自治体に対して事業費を補助しています。国庫補助率は2分の1となっております。これまで都道府県では京都府や福岡県、滋賀県などが、政令市では川崎市、熊本市が既にこの事業を活用しております。熊本市では、区役所と指定避難場所の公共施設8カ所に20カ所程度のアクセスポイントを設けることとし、国から2,100万円の補助金を得て、約4,300万円の事業を推進しておりました。本市においても、大規模災害に備え、国庫補助事業を活用した防災ワイファイステーションの整備を図るべきと考えますが、見解をお聞かせください。

◎高見澤章総務局長 神坂達成議員の御質問の1 災害リスク・コミュニケーションについて、(1) 避難所等におけるインターネットの活用についてお答えいたします。

まず、① 避難所等におけるワイファイ整備状況につきましては、現在、公共施設41カ所に整備しております。そのうち避難所に指定されております施設は、コミュニティセンターや市民会館等の5カ所でございまして、これは全避難所258カ所の約2%に当たります。今後の公共施設におけるワイファイ整備事業につきましては、先ほど土井議員の御質問で市長から答弁がありましたように、第四次さいたま市情報化計画において公衆無線LAN環境の整備を施策の一つとして位置づけ、本年度、その整備計画を策定することとしております。

御質問の避難者の通信手段の確保についてでございますが、現在のところ、避難所に順次設置しておりますNTT特設公衆電話回線、あるいは通信事業者が避難所に臨時に設置を行いますワイファイスポットを使用することとなります。

次に、② 防災ワイファイステーション整備事業についてでございますが、この事業は災害時の情報収集等の利便性を高めるために公共施設や避難所等に無線アクセス装置を搭載した鉄柱等の施設を整備するものでございます。事前の登録が不要であり、複雑な操作をすることなくインターネット環境に接続することができる特徴があるため、災害時において有効な通信手段であると認識しております。また、太陽光パネルですとか、災害時に発生する停電時にも運用できますし、電光掲示板のようなサイネージを設置することで、スマートフォン、タブレット端末をお持ちでない方でも情報伝達することができるものと考えております。

一方で、不特定多数の人が匿名で接続することにより、成り済ましの危険性があることですとか、個人情報あるいはパスワードの漏えいというセキュリティーの問題も生じてございます。そのため、国庫補助対象となります導入費用の問題だけではなく、平常時の活用方法も含めた費用対効果の検証とともに、御紹介いただきました他の自治体の先進事例なども踏まえまして、本市といたしましてのワイファイステーション整備の検討をしてまいりたいと考えております。

まるごとまちごとハザードマップとタイムラインの策定

◆神坂達成議員 次に移ります。

水防災意識社会の住民目線のソフト対策について伺います。

ハザードマップは、河川が氾濫した場合に素早く、そして安全に避難できるよう、まちの危険性を事前に把握する上で極めて有効な方策です。しかしながら、平成22年1月に内閣府が公表した防災に関する特別世論調査では、ハザードマップを確認した人はわずか30%にとどまっています。近年、全国各地で観測史上最大の降雨が更新されている実情を踏まえると、今後はハザードマップに関する情報を住民にわかりやすく提供することが重要かつ喫緊の課題ではないでしょうか。

こちらをごらんください。これは、まるごとまちごとハザードマップが設置されている戸田市で撮影したものです。上の赤いテープが想定浸水深、下が標識となっています。こちらが標識です。想定浸水深とともに荒川の氾濫時避難場所が明記されております。

このまるごとまちごとハザードマップは、国土交通省が行っている施策で、生活空間である町なかで実際の洪水をイメージしてもらうため、屋外に浸水実績や想定浸水深、さらには避難所の方向などを設置するものです。日常的にこのあたりまで氾濫水が及ぶ、どこに避難すればよいといった意識を住民に持ってもらい、水害時における速やかな避難行動につなげるものです。この取り組みは、平成18年に東京都北区において先行的に実施され、現在では多くの自治体に広がっています。政令市では横浜市、名古屋市、福岡市、近隣自治体では川口市や戸田市において実施されています。

鬼怒川の豪雨災害を踏まえ、現在、国において水害対策に関する検討が行われており、昨年12月にはハザードマップに関する情報をまちの中へ表示すること。つまり、まるごとまちごとハザードマップの取り組みを速やかに実施すべきとの方針が示されました。気になる事業費ですが、川口市に調査を行ったところ、平成25年から平成30年までの事業として300カ所に標識を整備する予定であり、その費用は191万円で、1標識当たりの費用は約6,000円ということになります。

さいたま市においても、河川管理者である国や県と協力して、被害リスクの高い地域から、順次、まるごとまちごとハザードマップを導入すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

次に、タイムラインの策定について伺います。タイムラインは、大規模な水害に備え、いつ、誰が何をするのかをあらかじめ時系列で整理した防災行動計画です。国、地方公共団体、企業、住民等が連携してタイムラインを策定することにより、災害時に連携した対応を行うことができます。国土交通省は、平成26年4月に国が直轄管理する河川で避難勧告等の発令に着目したタイムラインを策定し、タイムラインの普及、検証を実施するとの方針を打ち出しました。現在、本市において洪水ハザードマップが策定されているのは9河川となっていますが、タイムラインが策定されているのは荒川のみとなっております。荒川以外の河川でもタイムラインを策定し、水害に立ち向かうべきと考えますが、見解をお聞かせください。

◎高見澤章総務局長 次に、(2) 水防災意識社会の住民目線のソフト対策についてお答えいたします。

まず、① まるごとまちごとハザードマップについてでございますが、安全かつスムーズな避難につなげるために町なかに洪水関連標識を標示するガイドラインを、御指摘いただきましたように国土交通省河川局が策定しているものでございます。本市においては、生活空間における浸水区域がわかる目安として、災害対策基本法の改正に伴う指定緊急避難場所等の指定に伴い、指定緊急避難場所及び指定避難所の標識や誘導板を順次更新しているところでございますが、その際、河川の浸水想定により洪水時には利用できるところと利用できなくなるところを明確に標示しているところでございます。

議員御指摘のとおり、昨年12月の社会資本整備審議会で大規模氾濫に対する減災のための治水対策のあり方についての答申が出され、この中で、まちの中に想定浸水深の標示をすることが求められております。本市において最大の被害が想定される水害は荒川の氾濫でございますが、昨年の鬼怒川の堤防決壊による大規模浸水被害を教訓に、河川管理者であります荒川上流河川事務所において想定浸水の深さや範囲について見直しを行い、つい先日の5月30日に公表されたところでございます。今後はこの新たに公表されました河川管理者からの情報をもとに、想定浸水地域内の、今、映像を見せていただきましたけれども、例えば電柱広告などを用いて標示することについて着手してまいります。

次に、② タイムラインの策定についての御質問ですが、大規模な水害に備えて、河川の水位等を目安に市町村長等は避難勧告等をタイミングよく発令できるように時系列に整備したものが避難勧告等の発令に着目したタイムラインでございます。本市が洪水ハザードマップを作成している河川の中には、避難判断の指標となる水位観測地点が市外にあるものもあり、避難勧告等の発令のタイミングが難しいものがございますが、荒川以外の河川におけるタイムラインの策定につきましては、河川管理者でございます国や県と十分な調整を行いながら検討してまいりたいと考えてございます。

SNSの活用とライン@を活用した情報戦略・子育て支援事業

◆神坂達成議員 ただいま、まるごとまちごとハザードマップについて着手するという強い御答弁をいただきました。一日も早い着手をお願いしたいと思います。

それでは、次に移ります。

近年、さいたま市公式ホームページのアクセス件数は右肩下がりとなる一方で、フェイスブックのいいねやツイッターのフォロアーの数は増加しており、市の情報を発信する上でSNSの重要性は高まっていることは明らかです。本市では、平成25年3月に策定した、さいたま市PRマスタープランの中では、インターネット上の新しい媒体がツイッターやフェイスブックのように多数の利用者を獲得するようになれば、市としても、そうした媒体を有効に活用する必要があるとの方針が示されています。

そこで、こちらをごらんください。こちらは、総務省が平成27年3月に公表した社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する研究調査の結果をグラフにしたものです。まず、最上段になりますが、SNS全体の利用状況では既にラインが37.5%でトップとなっており、次いでフェイスブックが35.3%、ツイッターが31%となっています。特筆すべき点としては、2段目以降の年代別で比較すると、若い世代ほどラインを利用している実態が明らかです。アクセスしにくいとされる若者に対する行政情報の提供体制をより充実させるためにも、フェイスブックやツイッターに加えラインを導入すべきと考えますが、PRマスタープランを踏まえたこれまでの検討状況及びラインに対する御認識をお聞かせください。

次に、ライン@(アット)を活用した情報戦略について伺います。

平成24年10月、行政機関として初めてラインを導入したのは首相官邸です。お友達数は360万人を超え、政府広報の一角を担っています。その後、複数の政令市でもラインの運用が開始されました。中でも、ラインの弱点とされる拡散性を高めるため、名古屋市では市長の椅子に座れるクーポン券や市の施設やイベントに入れるチケットを配信するなど、ユニークな取り組みでお友達数をふやしています。

私は、この名古屋市の取り組みを研究するため、先日、視察に行ってまいりました。ちなみにこの市長の椅子に座れるクーポン券は、配信と同時に話題となり、わずか30分で定員に達したため締め切りとなりましたが、翌日には1,068人の友達がふえるなど、抜群の注目度を集めました。ラインの開設から2年目で、目標としていたお友達数も1万人を突破したことについて、成功の秘訣はとの私の問いに、市の担当者は、行政だからといって、かたい内容になってしまうのではなく、関心を持ってもらえる内容が重要と話されていたのが印象的です。

また、政令市で最も早くラインを導入した福岡市では、既にお友達数が約3万7,000人となっています。ラインホームページによると、現在、プライベート利用のラインアカウントとは別にビジネス用途で活用できるライン@のアカウントでは、活動ごとにアカウントを作成することが可能となっています。

本市においても、クリテリウムや国際マラソン、世界盆栽大会、トリエンナーレ等の大規模イベントごとに独自アカウントを取得し、イベント情報の発信とあわせて、プレミアムな特典やさいたまるしぇで使える割引券等を発信すれば、集客効果が期待できると考えます。また、現在の広報課を中心とした情報発信体制もイノベーションし、課や局の責任において独自性のある情報を発信することを提案したいと思います。

なぜか。理由は簡単です。例えば子育て情報が欲しくてライン登録したのに、興味のない情報ばかり届いたらどうなるでしょうか。スマホ世代の若者は、即、うざいとなって、ブロックされてしまいます。名古屋市でも苦慮されている点として挙げられていました。本年からは18歳選挙も始まります。選挙管理委員会による情報発信も忘れてはなりません。ライン@を活用したきめ細やかな情報発信で、市民満足度の向上に寄与すべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。

続いて、(3) ライン@を活用した子育て支援事業の導入について伺います。

ライン@、ラインが若い人に受け入れられる理由の一つとして、気軽さがあると私は思っています。その気軽さを使って、山形県新庄市では、本年2月に全国の自治体で初めてライン@を活用した子育て支援事業をスタートさせました。この事業は、子育て世代に最も利用されているラインを活用して、情報発信のみならず、1対1のトーク機能を使った子育て相談サービスを提供するというものです。

この山形県新庄市の取り組みを研究するため、先日、視察に行き、事業開始の経緯なども伺ってまいりました。その中で、なぜラインの導入を決断されたのですかとの私の問いに、市の担当者からは、今までは対面式の相談でしたが、利用者からは周囲の目が気になるので、使いづらい。面と向かって相談するのが苦手などの声が寄せられたため、このような意見に配慮し、窓口相談につなげる第一歩の機能としてラインの導入を決めたとのことでした。

大切なことは、小さなSOSを逃さずに捉え、支援につなげていくことにあると思います。若い人たちが数多く転入してくるこのさいたま市で、若いパパやママたちを絶対に孤立させてはなりません。本市では、これまでも各種窓口での対面相談に加え、子育てWEBのメール相談、子育て応援ダイヤルや子育て不安電話相談を実施してまいりましたが、より気軽に相談してもらうチャンネルをふやすという意味からも、妊娠・出産包括支援センターや子育て支援センター等でライン@を活用した子育て相談機能を導入すべきと思いますが、本市の見解をお聞かせください。

◎遠藤秀一副市長 神坂達成議員の御質問の2の(1) SNS活用への認識について、また(2) ライン@を活用した情報戦略については、関連がございますので、一括してお答えいたします。

まず、本市のSNSにつきましては、近年のソーシャルメディアの利用者の急増や必要な情報を得る手段が多様化する中、主に若年層をターゲットとして、ツイッターやフェイスブック、ブログ等を活用し、市政全般の情報を数多く発信しております。現在、ツイッターの登録者数は前年比約1万人増の約3万人、フェイスブックは前年比約1,500人増の約5,500人と順調に増加しており、若年層に対しても市が情報提供しやすい環境が整いつつあります。

ライン@につきましても、主に若年層を中心に、知人とのメッセージや通話等に広く活用されているSNSの一つだと認識しております。このライン@を情報発信の媒体として導入した場合には、若年層へ発信する情報が伝わる機会は、さらにふえるものと考えております。さいたま市PRマスタープランでは、市報と公式ホームページを媒体の柱とし、多様な媒体を活用することを本市の情報発信の方針の一つとしていることを踏まえ、ラインの活用について先進市の事例を調査したところでございます。それによれば、ユニークな取り組みを行い、受信者がふえるなど、ツイッターやフェイスブックとは異なるツールとして情報発信を行えると伺っております。その反面、市全体の情報を広く発信を行うと、受信者にとって不必要な情報が多く含まれ、結果として受信をブロックされるケースがふえるとアドバイスもいただいております。

議員御提案のライン@を活用した事業ごとのきめ細やかな情報発信につきましては、それぞれの市民が欲しいと思っている情報に特化した情報提供を行うことが可能となり、市民満足度の向上が期待できるものと考えておりますので、先ほど申し上げました先進市での事例を踏まえ、その媒体としての特性等を踏まえながら、運用方針の整備など導入に向けた具体的な検討を開始したいと考えております。

◎菅野博子ども未来局長 神坂達成議員の御質問の2 SNSを活用したQOLの向上について、(3) ライン@を活用した子育て支援事業についてお答えいたします。

近年、核家族化の進展などにより子育て世代が孤立化する中、子育て世代の方々は育児に対する多くの悩みや不安を抱えており、この世代の方々へのきめ細やかな支援が必要とされております。こうした子育て世代の悩みや不安を解消するため、各区の保健センターや、本年4月より設置を進めております妊娠・出産包括支援センターなどでは、各窓口において対面や電話による相談を行うとともに、子育て支援センターではインターネットによるメール相談も実施しております。

このような状況の中、ソーシャルメディアの普及により子育て世代においてもラインやツイッター、フェイスブック等、SNSが活用されていることから、自宅などで悩まれている方々に対して、こうしたツールを利用し、より気軽に相談しやすい環境を整備していくことは意味があると認識しております。

議員御提案のライン@等のICT機能を活用した新たな子育て相談チャンネルの導入について、他市の先進事例を参考にし、これから検討を予定している市の運用方針の整備状況等も踏まえて考えてまいります。

ダブルケアへの認識と包括的な支援体制の構築

◆神坂達成議員 私は、山形県新庄市に行って一通り視察が終わって、先方の職員の方と雑談しているときに、上司の方が、全国で初めて自治体で導入の事業と知っていたら、私はもしかしたら許可しなかったかもしれないという冗談を交えて言われておりましたけれども、そのときに私は、昔、市長が所信表明演説をされたときに、本田宗一郎の言葉を紹介して、チャレンジして失敗することを恐れるよりも何もしないことを恐れろと、こういったことを所信表明で言われたのを大変よく覚えておりまして、決断をしていく、実際にやっていくことも大変に重要なのではないかなと思いましたので、ぜひともしっかりとした検討をしていただいて実現していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、次に移ります。

近年、日本では新たなる社会的リスクの浮上が危惧されています。それは、子育てと介護を同時に行わなければならない世帯が増加しているからです。こうした状態はダブルケアと呼ばれています。ダブルケアの背景には、晩婚化による出産年齢の上昇に加え、育児や介護を手伝ってくれる兄弟姉妹の減少といった家族の変化や長寿命化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

ダブルケア研究の第一人者である横浜国立大学の相馬直子准教授らが昨年8月に行った調査によると、30代の女性では4人に1人以上がダブルケアに直面すると推測されるとの結果を公表しました。こうした状況の中、国では昨年6月に女性活躍加速のための重点方針を取りまとめ、ダブルケアの実態調査を行うこと、さらには対策の検討を進めることを明確に打ち出し、本年4月に調査結果を公表したばかりです。

また、ダブルケアへの先進的な取り組みを進める横浜市では、NPO法人が主催するダブルケアサポーターの養成講座に市職員の受講を促す取り組みや特別養護老人ホームの入所決定基準を見直し、ダブルケアの家庭について入所の優先度を上げる取り組みを行うほか、ダブルケアの受け皿となる育児や介護サービスを行う民間企業を育てるため、地元の信用金庫と連携した融資相談事業等を実施しています。さいたま市においても、早晩、ダブルケアは大きな壁となり、市民の前に立ちはだかってくることでしょう。

団塊の世代が75歳以上になる2025年、さらには高齢者人口がピークに達する2040年に向け、子育てと仕事の両立、介護と仕事の両立にとどまらず、子育てと介護と仕事の並立を図るための支援策の開発が急がれていると思いますが、ダブルケアに対する本市の認識についてお聞かせください。

さらに、昨年の12月定例会の一般質問において私は子供の貧困対策について提案し、執行部からは関係部署と調整するとの答弁をいただきました。子供の貧困対策も、ダブルケア対策も、主に保健福祉局と子ども未来局に担当部署がまたがり、それぞれの所管別に対応することが多いため、支援を必要とする方々に必要なサービスや情報が届きにくい現状にあります。最終的には相談窓口の一元化や包括的な支援体制の構築が求められますが、一歩ずつこれらの問題への対策を前進させるためにも先進都市に学び、縦割りの壁を越えて、複数の困難を同時に背負う市民を孤立させることが断じてないよう、対策の検討を行うためのワーキングチームを設置すべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。

◎清水勇人市長 神坂議員の御質問の3 ダブルケアへの取り組みについて、(1) ダブルケアへの認識についてお答えいたします。

本年4月には、内閣府から育児と介護のダブルケアの実態に関する調査の結果として、ダブルケアを行う方が全国で約25万人、その内訳として、女性が約17万人、男性が約8万人おり、年齢別では30から40代が8割を占めているという推計が公表されました。

また、本市が昨年11月に公表いたしましたさいたま市人口ビジョンでは、35歳以上で出産する割合及び65歳以上の老年人口の割合が年々増加しており、議員御指摘のとおり本市においても近い将来ダブルケア世帯の増加が予想されているところであります。

このような中、これまで介護につきましては、高齢者や認知症の方に対する介護の負担が大きいという視点から語られることが多く、介護と同時期に行われる子育てに対する負担につきましては関心が寄せられておりませんでした。しかしながら、今後、晩婚化や晩産化等によりダブルケア世帯の増加が予想されることから、そうした世帯の孤立化を防ぐためにも、既存の高齢介護や子育て支援のサービスに加えて、新たな支援や多様な地域資源の活用によりまして、ダブルケアを行っている方に対する負担軽減を図っていくことが必要であるという認識を持っております。

次に、(2) 包括的な支援体制の構築についてお答えいたします。

現在、ダブルケア世帯への支援につきましては、関係部局がそれぞれの立場から対応しております。まず、子育て支援に係る制度の中では、保育施設に係る利用調整に当たり、保育の必要性の総合的な判断の中で、介護を常態としている世帯に対する優先度を高める市独自の基準を設定しております。また、子育てヘルパー派遣事業におきましてダブルケア世帯への対応も行っております。この制度は、保護者が体調不良で、昼間、家事や育児の手伝いをしてくれる方がいない子育て世帯にホームヘルパーを派遣し、家事、育児の援助を行う制度でありますけれども、介護疲れから保護者が体調不良になった場合でも本制度を利用することが可能となっております。

次に、高齢介護に係る制度の中では、市内に27カ所ある地域で暮らす高齢者の介護、福祉、医療などに係るさまざまな相談を受け付けるシニアサポートセンターで実施しております介護者サロンがございます。そこでは、介護をしている方同士が悩みや疑問などについて情報交換したり、あるいは交流を図ったりしておりますので、ダブルケアの支援につながるものであろうと期待しております。

議員御指摘のとおり、部局横断的に包括的な支援体制を構築していくことは、市民サービスの向上の観点からも重要であると考えておりますので、先進事例などを研究して、このダブルケア世帯への適切な支援に向けての体制など含めて検討していきたいと思っております。

スポーツ都市に資する屋外スポーツ施設の夜間照明

◆神坂達成議員 次に移ります。

スポーツ都市に資するグラウンド整備について伺います。

さいたま市はスポーツ振興まちづくり計画の中で、日本一スポーツで笑顔あふれるまちの実現を掲げています。また、市長は御自身の著書でも、さいたま市を日本のスポーツ首都と言われるほど発展させたいと記されております。私も全くの同感です。

しかしながら、昨年6月にさいたま市が行ったスポーツに関する市民意識調査では、スポーツ施設の設置状況に満足している方は約1割しかおらず、スポーツ施設の増加を望んでいる方は約5割にも上ることが明らかとなりました。一方で、厳しい財政状況が続く中、多額の費用をかけて施設建設には限界があるのも事実です。そこで、限られたスポーツ資源を効果的にフル活用する工夫が求められます。

過日、市長は御自身のSNSで、早稲田大学原田教授著「スポーツ都市戦略」でさいたま市の取り組みが紹介されているので、ぜひ読んでほしいと推奨されておりましたので、早速読んでみました。感想としては、本市のスポーツ都市戦略における教科書的な位置づけであることを強く感じました。

その教科書とも言える著書の中で原田教授は、するスポーツと施設の相関性について、以下のように言及されております。スポーツに参加する人をふやし、施設をフル活用することによって施設経営を安定させて、地域活性化を促進することが可能であると、現有施設のフル活用の重要性を記されています。市民のライフスタイルが多様化する中で、スポーツを楽しむ人は休日や昼間だけではありません。夜間でもグラウンドを利用できるようにすれば、スポーツ施設の建設と同じような効果が期待できると私は考えます。

そこで、政令市の屋外スポーツ施設における夜間照明の設置状況を調査してみました。こちらをごらんください。さいたま市は、屋外スポーツ施設数では、20政令市中、第8位でした。夜間照明の設置数では第13位となっていますが、フル活用を視野に入れたとき、夜間照明の設置率では第17位という悲しい結果が浮かび上がってまいりました。本年3月に改訂されたスポーツ振興まちづくり計画の素案に対するパブリックコメントでは、スポーツ施設をふやしてほしいという意見が寄せられ、市はスポーツ施設の整備運営に関する指針を策定する中で調査研究を行っていくとの方針を示しています。また、この計画では、小中学校の夜間照明の整備を主要事業に位置づけ、屋外スポーツ施設への夜間照明については言及されておりません。日本一スポーツで笑顔あふれるまち、スポーツ首都を実現するため、小中学校だけでなく、屋外スポーツ施設についても夜間照明の設置を計画的に推進すべきと考えますが、見解をお聞かせください。

また、スポーツ施設の整備運営に関する指針へはどのように位置づける予定であるのか、本市の見解をお聞かせください。

◎金子康スポーツ文化局長 神坂達成議員の御質問の4 スポーツ都市に資するグラウンド整備について、(1) 屋外スポーツ施設の夜間照明設置についてお答えいたします。

まず、小中学校だけでなく、屋外スポーツ施設についても夜間照明を計画的に設置することについてですが、現在本市では、野球、テニス及びサッカーなど、夜間にスポーツができるよう大和田公園や堀崎公園など幾つかの公園に夜間照明を設置しています。これらの施設に関しては、夜間時の稼働率が高いことから、利用者ニーズがあることは認識しております。しかしながら、市街地にある屋外スポーツ施設に夜間照明を設置する場合は、周辺の住環境への配慮をする必要があります。また、郊外の河川敷等にある屋外スポーツ施設の場合は、夜間照明により自然環境へ影響を及ぼさないよう配慮する必要があるなど、夜間照明の設置に当たってはさまざまな課題がありますので、これらの課題を整理する必要があると考えています。

そこで、本年度策定予定のさいたま市スポーツ施設の整備・運営に関する指針についてですが、本指針は、市内におけるスポーツ施設の整備や運営のあり方を調査検討し、より効率的かつ効果的なスポーツ施設の整備、運営を図ることにより、本市のスポーツ環境をより一層向上させることを目的としています。

本指針では、スポーツ施設の現状と課題を整理し、施設整備及び管理運営の方向性を検討するとともに、市民が利用しやすいスポーツ施設を実現するための事業手法等を検討し、これらを推進するための現実的で具体的な取り組み内容とか体制、スケジュールなどを提示することとしております。

議員御指摘のとおり、厳しい財政状況が続く中で、まずは限られたスポーツ資源をフル活用することによりスポーツに参加する人をふやし、施設経営の安定や地域活性化の促進を図ることが非常に重要であると考えます。また、このことは本市が掲げている成人の週1回以上のスポーツ実施率の向上にも大きく貢献するものと考えます。そうした観点からも、屋外スポーツ施設への夜間照明の設置につきましては、スポーツ施設の整備・運営に関する指針において、スポーツ施設の有効な活用方策の一つとして位置づけ、調査研究を行い、課題を整理してまいりたいと考えております。

◆神坂達成議員 それでは、再質問させていただきます。

さまざまな環境がある、問題がある、これは私も重々承知です。しかしながら、さっき言ったように他政令市では既に進められているわけです。さいたま市は、スポーツ都市を目指すと言いながらも17番目である。このいろいろな課題は全政令市共通だと思います。さいたま市だけできないということは、私はないと思います。

考えてみてください。例えば荒川総合グラウンドに、夜間照明を入れれば、夜に、サッカーや野球やソフトボール、楽しめる人たちがたくさんいると思います。そうした状況の中で、実際に市長が目指しているスポーツ首都を実現しよう、この構想をしっかり進めるのであれば、まずやることを前提に私は進めるべきだと思いますし、先ほど述べましたけれども、市民意識調査ではスポーツ施設に満足していない。満足しているよという人は、たった1割しかいないのです。CS90というのを今さいたま市ではやっていますけれども、逆に、今、CSマイナス90状態なわけです。それをしっかりと推進していく、この市民意識調査、これをしっかりと認識していく。また、半数以上のさいたま市民の方々がスポーツ施設を増設してよと言っているわけです。この意識調査について、市はどのように考えていますでしょうか。答弁をお願いします。

◎金子康スポーツ文化局長 神坂達成議員の再質問にお答えいたします。

確かに御要望は、私どもも、じくじたる思いで認識しているわけなんですけれども、とりあえず今のところ、整備方針を固める中で並行して、施設については他部局にまたがることもございますので、他部局とも連携しながら前向きに取り組んでまいりたいと考えております。

埼玉県総合教育センター跡地の有効活用

◆神坂達成議員 市長が贈られました本田宗一郎の言葉を市の職員の皆様にしっかりとお贈りさせていただきたいと思います。

それでは、次に移ります。

最後の質問です。緑区三室に存在する埼玉県総合教育センターは、平成23年4月に行田女子高跡地に移転したことから、現在埼玉県が未利用財産として管理しております。当該跡地について、旧浦和市が埼玉県立浦和工業高校敷地として買収した土地ですが、一部の土地の買収が進まなかったため、埼玉県立理科教育センター敷地として、昭和41年1月に9,916平方メートルを埼玉県に寄附したものです。また、昭和45年には、旧浦和市が寄附した土地の隣接地4,514平方メートルを県に売却し、総面積は1万4,430平方メートルとなりました。つまり総面積の約7割は旧浦和市民の税金で賄われたものです。1万4,430平方メートルといえば、東京ドームのグラウンドが1万3,000平方メートルですので、すっぽりとおさまってしまう広大な敷地です。

この広大な敷地の跡地利用については、12の近隣自治会長と話し合いを持った結果、防災機能を持たせた多目的公園として、6項目に及ぶ要望書を、自民、民主、公明の議員が紹介者となって、平成27年9月10日、清水市長にお届けさせていただきました。市長からは、少し時間がかかるかもしれないが、皆様の声を尊重し、県との交渉を進めていきたいとの心強いお言葉をいただきました。

この総合教育センター跡地は、第1次緊急輸送道路である第二産業道路に隣接しており、さいたま市立病院とも道路一本でつながっています。万が一、大規模災害が発生した場合、近隣住民の避難場所となることはもちろんですが、その後、大量搬送されてくる負傷者たちのトリアージ場所としても有効と考えます。また、首都圏広域地方計画において、さいたま市は首都圏の防災拠点として位置づけられたことから、当該跡地は大規模災害の発災時にはTEC-FORCE等のバックアップ拠点としても有効であり、その地の利を活用した位置づけが求められていると考えます。さらに復旧が進めば、不足するであろう応急仮設住宅の建設用地としても転用できると考えます。

そこで、お伺いいたします。現在、埼玉県総合教育センター跡地に関し、本市の検討状況及び県との協議はどのようになっているのか。その進捗状況も含め、お聞かせください。

また、首都圏広域地方計画及び大規模災害という防災の観点から俯瞰的に判断するとき、県に対してもその協力を求めていくべきと考えますが、見解をお聞かせください。

◎原修財政局長 神坂達成議員の御質問の5 県有施設跡地におけるまちづくりについて、(1) 埼玉県総合教育センター跡地の有効活用についてお答えいたします。

埼玉県立総合教育センター跡地は、面積が約1万4,000平方メートルの規模を有する用地であること、市民から防災公園等の要望があることなどを踏まえ、当該地の有効な利用方法や用地取得費といった財政負担など、市としてさまざまな面から検討しているところでございます。

なお、昨年度は関係所管課による検討会を立ち上げ、防災機能を持った公園という観点も含め、当該地全体の利用計画等について検討を行ったところでございます。

本年度は、市域の防災機能を有する公園の現状把握等の調査を予定しており、この調査結果も踏まえ、当該地の利活用について、より具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

また、埼玉県との協議につきましては継続的に実施しており、本年5月にも既存建物や旧浦和市が寄附した土地の取り扱いについて協議を行ったところでございます。なお、埼玉県では、当該地の利活用について、地元である本市の公共利用を優先したい意向であることを確認しております。

次に、議員から御指摘のありました防災の観点からの見解ですが、市街地における防災空間、オープンスペースの確保は、災害発生時における延焼防止、あるいは一時的に避難する場所として、災害に強いまちづくりを推進する上で大変重要であると認識しているところでございます。また、首都圏広域地方計画において、さいたま市は首都圏の災害時のバックアップ拠点として位置づけられているなど、防災に対する本市の担う役割も重要になっております。このような状況も踏まえ、安心安全なまちづくりに資するよう、当該跡地の有効活用について、今後も引き続き埼玉県と協議してまいりたいと考えております。